DMC×魔女パロ | ナノ


▽ 雨が止むまで 4

「…なぜ、お前は悪に染まらずに生きてこられたのだろうな」


その言葉にリアラは顔を上げて死神を見る。金色の目はこちらに向けられていたがどこか遠くを見ているようで、まるで自分を通して何かを見ているようだった。こんな彼女を見たのは初めてだった。


「……きっと、周りの人達のおかげです」


目を閉じ、静かに考えを巡らせたリアラは答えを口にする。澄んだ声に思考の海から引き戻され、死神ははっと我に返る。


「周りの人達の支えがなければ、私はここまで来ることができませんでした。こうして、魔女として生きることもできなかったでしょう。愛情を持って私を育ててくれた父や母、小さい頃の私を見守ってくれて、今では私を慕ってくれる町の人達、友人として私の側にいてくれるルティア達…たくさんの人が私を支えてくれたから、私はここにいられるんです」


もちろん、死神さんもその一人ですよ、と彼女は笑って言った。その表情に嘘は見られず、心の底から思って言った言葉だとわかる。


「私もその内の一人とは、お前は変わっているな」

「死神さんは私のことを血筋で判断せずに対等に接してくれました。私の存在を認めてくれて、何度も助けてくださった。…それだけで、私には充分な支えです」

「私はお前の力を認めているだけだ、外側だけで判断するならそれまでの奴等だったということだろう。それにお前はルティアの友人の一人だ、助ける理由ならそれだけで充分だろう」

「…優しいんですね、死神さんは」

「優しい、か…本当にお前は変わった奴だな」


優しいなんて言葉は自分に当てはまらないだろう。それは自分が一番よくわかっているし、何よりルティアが聞いたら即座に否定して訂正を求めるレベルだ。必死に首を振って説得しようとするルティアの姿が思い浮かぶ。


「変わっていてもいいです。私は自分がそうだと思った人は周りの人がどう言おうともそうだと思っていますから。考えを変えるつもりはありません」

「意外と頑固なんだな、お前は」

「そうかもしれません」


ふふっと笑ってリアラは肯定する。からかわれるとすぐむきになるルティアと違って、いつでも落ち着いて話を聞き、自分が考える意見を述べられる彼女は話しやすい相手だ。ルティアにもこれくらいの落ち着きがあればいいんだが、と思っていた死神は話しやすい相手でふとある人物を思い出した。

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