▽ 小さな君 7
「では、失礼します」
「また来月お願いね」
「はい」
丁寧に頭を下げて配達先を後にする。歩くリアラに肩に乗ったダンテが声をかける。
『これで終わりか?』
「うん、今日はこれでお終い。後は家に帰るだけだよ」
リアラがそう返すと、安堵したようにダンテはため息をつく。
『そうか…やっと一息つけるぜ』
「あはは、お疲れ様」
労わるようにリアラはダンテの頭を撫でる。
朝、配達に出かける自分についていくと言ったダンテにリアラは昨日のようになったらダンテが疲れてしまうからと断ったのだが、パートナーなのだからついていくと言う彼に再度断ることができず、二人で一緒に配達に行くことになった。
だが、今日の配達先には子供のいる魔女の家もあり、案の定というか何というか、そこで子供達におもちゃにされてしまった。女の子相手だったのでぬいぐるみのように扱われ、かわいいでしょ!と首に赤いリボンを付けられた彼を見せられた時は、本当にぬいぐるみみたいでかわいいと思ってしまった。結果、拗ねた彼を宥めることになってしまったが。
また、他の配達先では小動物好きな魔女に興味を持たれ、じっと見つめられたり、触られたりした。何も言わずに大人しくしつつも居心地が悪そうな顔をしていた彼を気遣って、リアラが魔女にやめてくれるようお願いした、なんてこともあった。
「今のところ、身体に問題はない?」
『ああ、身体には問題ないぜ。ただ、やっぱりこの姿だと魔術は使い辛いな』
「そっか。…早く元の姿に戻れるといいね」
『ああ。ありがとな』
「うん」
目を細めて頷いたリアラは、微かに感じた気配にあれ?と首を傾げる。
「この気配…魔獣?」
『ああ。この微弱な気配、『ノーマル』か。けど、何でこんなところに…』
「他の魔獣の転移魔術に巻き込まれちゃったのかしら…ごめんね、ダンテ、気になるから様子を見ていっていいかな?」
『ああ』
「ありがとう」
行き先を変え、リアラは気配のする方へと向かった。
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