DMC×魔女パロ | ナノ


▽ 小さな君 6

「ダンテ、大丈夫?」

『…疲れた…』


肩に乗るダンテにリアラが尋ねると、ダンテはぐったりとした様子で答える。
あの後、我に返ったリアラは子供達の間でもみくちゃにされていたダンテを助け出した。側に主催者の魔女の娘である見習い魔女がいてダンテに預けていたはずの自分の杖を持っていたため、話を聞いたところ、テーブルと椅子の準備ができたため、代表して自分が母親に伝えに家に戻ってきたら、リビングに自分の杖があり、一人前の魔女の持つ杖で、しかも憧れの人の物だと思ったら触ってみたくなったらしい。杖を持った時、それに気づいたダンテが注意したのだが、それに驚いて魔法が暴発してしまい、気づいた時には目の前にいた彼が小さな魔獣の姿になっていた、ということだった。
リアラの後を追ってきた主催者の魔女は様子を見てすぐに状況を理解したのか、ダンテにかかった魔法を調べてくれた。彼女曰く、暴発した魔法は相手を動物に変身させてしまう魔法らしく、ダンテのように階位の高い魔獣ならかからないものらしいのだが、自分の−パートナーの使う杖で魔法をかけてしまったことにより、中途半端にかかってしまったらしい。結果、小さな魔獣の姿になってしまったとのことだった。
娘である見習い魔女はこっぴどく叱られ、涙目になりながら母親と一緒に自分達に謝ってきた。自分もダンテも不慮の事故だからと気にしないように伝えた。ただ、午後の勉強会に参加しようにも子供達のおもちゃになりかねない彼をそのままにしておけず、リアラは主催者の魔女に話して教える側から外してもらい、子供達の遊び相手をした。今は勉強会を終えて帰路に着いたところだ。


「……」


何かを考えるように俯いてしまったリアラに気づき、ダンテは口を開く。


『…ごめんなさい、って言うのはなしな』

「うっ…」


思っていることを言い当てられてしまい、リアラは言葉に詰まる。やっぱりな、とダンテはため息をつく。


『お前は何でもかんでも気にし過ぎだ。少しは肩の力を抜けよ、ずっとそんなんじゃ気疲れしちまうぞ』

「うん…」

『あれは俺がお前から預かった杖をちゃんと見てなかったから起きたことだ、お前のせいじゃない』

「うん…」

『この姿でも生活に支障はないし、何日かすれば元に戻るだろ。…あー、まあ、多少魔術の威力は落ちるから、守るには頼りないかもしれないが』

「そんなことない!あ、えっと…」


即座に返したリアラは、はっと我に返ってどう続けたものか悩む。ダンテは驚いて目を見開いたが、少しして吹き出すように笑った。


『お前、本当に人のことに関しては返事が早いよな』


小さな手を伸ばし、リアラの頬に触れるとダンテは続ける。


『ずっとこのままってわけじゃないんだから、あまり気にするな。落ち込んでばかりいないで笑えよ』

「ダンテ…。うん、ありがとう」


ようやくリアラが笑みを浮かべると、よしよし、とダンテも笑みを浮かべる。


「今日の晩ご飯はダンテの好きなピザにするね」

『お、いいな。楽しみにしてるぜ』

「うん」


彼のために美味しいピザを作ろう、そう決めて、リアラは家路を急いだ。

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