▽ 小さな君 4
「一度魔法を使ってみて、そこから少しずつ使う魔力を減らしてみてください。何度も使っている内に自分が魔法を使うのに必要最低限の魔力がわかるはずです。時間はありますから、焦らずにゆっくりやってみてください」
「はい!」
「じゃあ、実践してみましょう。他の人に当たらないように距離を離してやってね」
主催者の魔女の言葉に見習い魔女達は頷き、自分の場所を確保すると、それぞれ魔法を使い始めた。
「あ、消えちゃった…」
「少し魔力が少なかったみたいですね。もう少し使う魔力を増やしてみてください」
「きゃっ!」
「大丈夫ですか?魔法を使う時の勢いが強いみたいですね、落ち着いて、ゆっくりやってみましょう」
見習い魔女達の様子を見ながら、リアラは一人一人に丁寧に対応していく。三十分経った頃、主催者の魔女がパンパン、と手を叩いた。
「時間よ、みんな一旦手を止めて。集中して疲れたでしょう、休憩がてらお茶にしましょう」
わあっ、と見習い魔女達が明るい声を上げる。彼女達にテーブルと椅子を用意しておくように伝え、お茶の準備をするために魔女は自宅に向かう。
「私も手伝います」
「ありがとう、リアラ。お茶の準備まで手伝わせちゃってごめんなさいね」
「そんな、皆さんも手伝ってるんですから私も手伝うのは当然です」
「貴女らしいわね」
そう言って微笑み、魔女は玄関の扉を開ける。
家の中に入ると、リビングではダンテが子供達の遊び相手をしていた。こちらに気づき、ダンテが声をかけてくる。
「リアラ、もう終わったのか?」
「ううん、休憩に入るから一旦戻ってきたの。お茶の準備をしないといけないし」
「そうか。俺も手伝おうか?」
「ううん、大丈夫。ダンテはその子達の相手をしてあげてるんでしょ、一緒にいてあげて」
「一人で子供達の相手を任せちゃってごめんなさいね、すごく助かるわ」
「気にしなくていい、子供の相手は慣れてるからな」
ひらひらと手を振るダンテにお礼を言い、魔女はキッチンへと向かう。リアラもついていこうとして、何かを思い出したようにあ、と声を上げた。
「ごめん、ダンテ、一つだけお願いがあるんだけど」
「何だ?」
「お茶の準備をしている間、杖を預かってくれないかな?準備が終わったら取りに来るから」
「わかった」
「お願いね」
ダンテに杖を手渡すと、リアラも早足でキッチンに向かった。
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