▽ 小さな君 2
『あとどのくらいだ?』
「もう少しで着くよ。…あ、見えた。あそこだよ」
『ああ、あそこか。下りるからしっかりと掴まってろよ』
「うん」
リアラが頷くと、眼下に見える村に向かってダンテは翼を羽ばたかせ、高度を下げる。村の入口に着くと、リアラが降りたのを見計らってダンテは人型に戻る。
「じゃあ行こうか」
「ああ」
前を歩き出したリアラの後についてダンテも村に入る。勉強会と言っているだけあって、村には見習い魔女が大勢いて、お互いに自己紹介をしていたり、魔法の話をしていたりする。その中を自分達が進むと、こちらに気づいた見習い魔女達が色めき立つ。
「あ、リアラさん!」
「リアラさんって、『雪の薔薇』って呼ばれてるあのリアラさん?初めて見た…」
「今までに人に危害を加えてきたたくさんの魔獣を捕まえてきたんだよね、すごいなあ…かっこいい…」
「ねえ、リアラさんの後ろにいる人ってあの噂の…」
「あの魔界で有名な五兄弟の人でしょ?すごい魔力…あんな人と契約できるなんて、リアラさんはすごいなあ」
目の前の彼女のことに加え、自分のことも話しているようだ。彼女達の話し声を聞きながら歩いていると、ふいに前を歩いていたリアラが振り返る。
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