▽ 知らない感情 16
「え、あ、ダンテ!?」
「お前、そういうところは不器用なんだな」
そう言って苦笑したダンテは、どこか優しい顔をしていた。
「まあ、わかったんならいい。ちゃんと自分を大切にしてやれよ」
「う、うん」
優しい手つきでリアラの頬を撫でると、ダンテは彼女の身体を起こして組んでいた自分の脚の上に座らせる。戸惑いの視線を向ける彼女の頭を撫でながら、ダンテは続ける。
「甘えたって、頼ったっていいじゃねえか。お前はそうしてるって言うけどな、俺からしたらささやかなもんだ。もっと甘えても、頼ってもいいくらいだ」
「…そう、なの…?」
「ああ。迷惑だなんて思ったことは一度もないから、必要な時は甘えればいいし、頼ればいい。遠慮なんかいらない」
「…そっか…」
目を閉じて呟いたリアラは、ゆっくりと身体を動かしてその身を預けるようにダンテに寄りかかる。
「リアラ?」
「甘えて、いいんでしょう?…寂しかったの、ダンテがいなくて」
告げられた理由にダンテは目を見開いたが、すぐにフ、と笑みを浮かべる。
「…寂しい思いさせて悪かったな」
「いいの、帰ってきてくれて嬉しい。帰ってきてくれてありがとう、ダンテ」
「今更だが…ただいま、リアラ」
「おかえり、ダンテ」
包み込むように身体に回された腕が温かい。安心できる場所に、リアラは小さく笑みを浮かべた。
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