DMC×魔女パロ | ナノ


▽ 知らない感情 12

「母様の、薬…」


小さい頃から何度も見ていた、薬を作る母の姿。自分には母と同じことはできなかったが、その光景は忘れるはずがない。今でも鮮やかに思い出せる。


「父様と母様に、会いに行ったの…?」

「ああ、その薬を作ってもらいにな。ルティアはでかい仕事が入ってて頼めそうにないし、ディーヴァの魔術で治せるかどうかわからなかったし…どうするか考えてた時に、お前の母親の名前が浮かんでな。お前、母親が薬作るのが得意だって話してただろ?」


そんなことまで覚えていたなんて。驚くリアラの後ろに座り、ダンテは手を伸ばす。


「薬、渡してもらっていいか?」

「あ、うん」


リアラから香水瓶を受け取ると何かを確認するようにそれを見つめ、よし、とダンテは頷く。


「ちゃんとお前の魔力が移ってるな。これなら大丈夫だろ」

「もしかして、母様にこうするように言われた?」

「ああ、薬を使う相手の魔力が移ってる方が馴染みやすいってな。お前なら知ってるから大丈夫だ、とも言ってたぜ」

「そう…」


また、父様と母様に心配させてしまったな。そう思っていたリアラの肩にタオルがかけられる。


「約束した日までに戻ってこれたとはいえ、もう日付が変わる時間だったからな…お前はもう寝てるだろうし、明日の朝でいいかと思ってたんだが、まさか起きてたとはな」

「え、っと、ごめんなさい…」

「お前のことだ、俺のことを心配して起きて待ってたんだろ?」


笑って返すダンテの言葉に俯き、リアラはポツリと呟く。

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