▽ 知らない感情 6
「ふぁ…」
窓から射し込む朝日に目を覚ましたリアラはベッドから起き上がり、大きく伸びをすると床に足をつける。昨日は考えごとをしていたせいか、珍しく寝不足で欠伸が出てしまった。
(あれから、ダンテ、ほとんど何も言わなかったな…怒ってた、ものね…)
遅めの夕食を食べる時も、寝る時も、ダンテは必要最低限の言葉しか発しなかった。いつもなら、自分からいろいろと話してくれるのに。扉の前で立ち止まり、リアラは俯く。
(気まずい…けれど、私が怒らせるようなことをしたんだもの、謝らなきゃ)
何て言って謝ればいいのかはわからないが、とにかく謝らなければ。意を決してドアノブに手をかけ、扉を開ける。
「…ダンテ?」
リビングで寝ているはずのダンテの姿がなく、リアラは辺りを見回す。彼を探してダイニングへ移動すると、テーブルの上に白い紙が置かれていた。
『二、三日で戻る。心配するな。 ダンテ』
紙には短くそう書いてあって、リアラの両手に力が込もる。
「ダンテ…」
家の中が、やけに静かに感じた。
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