DMC×魔女パロ | ナノ


▽ 知らない感情 1

『逃すか!その女もろともお前も喰らってやる!』

「もう、しつこいわね!」


後ろから追いかけてくる影に眉を顰め、氷の矢を放つ。それに怯んだ隙をつき、リアラは杖に速度を上げる魔法をかける。


「大丈夫、必ずあなたをお父さんのところに帰してあげるからね」


リアラが自分の杖に乗る少女に安心させるように微笑みかけると、涙目になりながらも少女はこくりと頷く。
依頼が来たのは昼を過ぎた頃。魔獣のいる森で娘が行方不明になったので探してほしいという内容で、リアラはダンテを連れて依頼主のいる村へと向かった。依頼主に話を聞いてみると、一週間程前から村の近くの森に一匹の魔獣が住み着き、それ以降、森に入った村の女性が行方不明になっているのだという。森には薬草や珍しい花が生えており、それを村の外で売って生活する者もいるため、危険だとわかっていても森に入らざるをえないらしい。依頼主の娘も薬を作る仕事をしている父を手伝うために薬草を採りに森に入って行方不明になったらしい。
依頼を受け、さっそく二人は森を調べ始めた。森はそれなりに広く、木々に遮られて光はほとんど入らないため、なかなか目的の人物は見つからなかった。日が沈み、辺りが闇に覆われ始めた頃、木々の影に隠れるようにあった洞窟を見つけ、その中を調べてようやく依頼主の娘であろう少女を見つけたのだが…。


(影を操れるのは厄介ね…おかげでダンテと離れちゃったし…)


少女を見つけた洞窟は例の魔獣が住処として使っていたらしく、こちらの気配に気づいた魔獣と運悪く鉢合わせてしまう形になってしまった。ダンテが囮になって魔獣の足止めをしてくれている間に少女を連れてその場を離れたのだが、影で分身を作ってそれと入れ替わってきたらしく、魔獣が自分達を追ってきていた。自分達を捕らえようと伸びてくる影を魔法で払いのけながら逃げているが、このままではいずれ捕まってしまう。


(この子だけでも逃がさなきゃ…!)


その時、ちょうど洞窟の出口に辿り着いた。開けた場所に出たらしく、月が仄かに辺りを照らしている。
洞窟の出口に結界を張ると杖を止め、リアラは地面に降り立つ。

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