▽ 彼女について 5
「冷静で動じないやつだな、とは思うぜ。どんなことがあっても落ち着いてるしな。ただ、さっきの戦いを見てて思ったが、意外と好戦的な気はするな」
「あー…そうかも。死神さん、バージルと喧嘩してる時もどこか楽しんでるところがあるもの」
「そ、そうなんだ…」
「まあ、強い奴を見つけると戦いたくなるのが魔獣の性だからな、驚くことでもないんだが」
「じゃあダンテやバージルもそういうところあるの?」
「ああ。バージルはあまり顔に出さないからわかり辛いだろうが、内心は喜んでると思うぜ。ああ見えて俺ら兄弟の中では一番強さにこだわってるからな」
「そうなんだ…じゃあ、死神さんと喧嘩してる時もそうなのかな?」
「あー…それは違う理由だろうな」
「?」
おそらく理由はルティアのことだろうが、それを本人に言っても仕方ない。ガシガシと頭を掻いて言葉を濁すダンテに首を傾げるルティアの横で、何となく理由がわかっているリアラは苦笑する。
「まあ何であれ、喧嘩するのは止めてほしいんだけどな。壊れたお屋敷を直すのは私だし、外でやられたら元に戻すのが大変だもの」
「そうね、私もダンテに必要以上に物を壊すのを止めてほしいんだけど」
「本当に悪かった、だからそれ以上は言わないでくれ」
頭を下げて頼むダンテにリアラとルティアはくすくすと笑う。そこへ、作業を終えた死神がやって来た。
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