落ちた先-9-

「ああ、まだ自己紹介をしていませんでしたね。ボクは…」

「ああ、自己紹介は結構です。聖杯戦争に参加している方々はサーヴァント含め全員知っていますので。お手間をかけさせるわけにはいきません」

「そうですか、手間が省けて助かります。…では、本題に戻りましょうか。サクラ。中に入るためのゲートは作っていただけましたか?」

「……はい、緊急時ですので特別措置として許可しました。けど……私は、反対です。中はどうなっているのか、ここからではスキャンはおろかモニターさえできない状況です。安全は保証できません。そんな所に岸波さんを送り込むのは……」


言葉を詰まらせ、心配そうに白野を見つめる桜。二人の会話を聞いていた空が口を開く。


「ゲート、ということはこの空間にアリーナを見つけたということですか?」

「さすがは観測者、話が早くて助かります。サクラ、皆さんに説明をお願いします」

「は、はい。その、正確にはアリーナらしきもの……です。この校舎は月の裏側にぽつんと浮かんだ泡のようなものと思ってください。泡がなくなれば皆さんは虚数に飲まれて消滅、ないし定まらない乱数≠ニして永劫にさまよう事になります。この校舎から外に出る事は自殺行為です。ですが……一つだけ、比較的正常な状態で表側に向かっている構造体を発見しました。それが……校庭にある桜の樹です。あの樹の下には、外に通じると思われる、未確認のアリーナがあるんです」

「では、そのアリーナを抜ければ外……月の表側、聖杯戦争に戻れるのだな?」

「その可能性は高いです。未確認アリーナ、では格好がつかないのでサクラ迷宮と名付けました」

「サクラ迷宮…ですか。つまり、表側に繋がっているかもしれないそのアリーナへ岸波さんに行ってほしいと、そういうことでしょうか?」

「その通りです」

「でも、何で私とアーチャーなんだ?調べるのなら、レオとガウェインで行った方が確実なんじゃないか?」


頷くレオに首を傾げ、尋ねた白野に岸波さん、と隣りにいた空が口を開く。




back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -