壊れゆく日常-2-

「はい、どうぞ」

「ありがとう、桜。…うん、美味しい。貴女の淹れてくれるお茶はいつも美味しいわね」

「そう言って頂けると嬉しいです」


ほう、と息をつき告げた言葉に、紫色の髪をした少女−桜は柔らかく微笑む。
ムーンセルに報告を終えた女が訪れたのは保健室だった。一日に必ず一回、ここに来て桜とお茶を飲みながら話すのが彼女の日課になっている。


「今日はいらっしゃるのが少し遅かったですね。何かあったんですか?」

「ああ、私が少し考えごとをしていて報告をするのが遅れてしまってね。大したことじゃないわ」


だから心配しないで、と女が言うとそうですか、と桜はほっと安堵の表情を見せる。


「でも珍しいですね、空さんが考えごとをして報告をするのが遅れるなんて。何か気になることでもあったんですか?」

「ちょっとね。それに、この聖杯戦争ももう少しで終わりだなと思うと感慨深くて、つい今までのことを思い返しちゃって」

「そうですね、あと2回でこの聖杯戦争も終わります。私がお役に立てることは少ないかもしれませんが、最後まで役目を果たさないと」

「桜はよくやっているわ、心配しなくても大丈夫よ」

「ありがとうございます、そう言って頂けると嬉しいです」


残りの紅茶を飲み干すと、女−空は立ち上がる。


「お茶、ご馳走様。少し校内を見回ったらまた戻ってくるわ」

「はい、お気をつけて」

「ありがとう。じゃあ、また後でね」


ひらひらと手を振ると、空は保健室を後にした。




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