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ついに来ました、日曜日…! 不良さんと平凡君の初デートの日ですが、皆さんお忘れじゃありませんか? 俺はその二人を覗き見…、ではなく観察するために、ちゃんと外出届を出してきた。準備万端。どんと来い。 ただ、今日の外出が楽しみすぎて昨日よく眠れなかったせいで、今はすごく眠い。失敗した。小学生か。 それはそうと、遅いな。 俺は、くぁ、と欠伸を噛みしめた。 待ち合わせの時間に既に20分遅れている金髪は、いっこうに姿を現さない。 あの目立つ髪色の頭を探しながら、俺は数日前の出来事を思い出していた。 それは、体育でのこと。俺とペアを組む相手は、いつもの流れであっきーだった。 この授業では、まずは二人組で柔軟をするんだけど―… 「っあー…痛いんだけど。あっきー、今日も容赦ない」 「ざまあみやがれ」 というように、俺はその日もあっきーにいじめられていました。いじめ、よくない。 開脚で上半身を前に倒す運動。後ろから背中を押してもらって、って痛い痛い。 日頃の恨みでも晴らすかのような押し方に、俺は言葉で弱弱しく反抗してみた。 「うー…もう、あっきー嫌い」 「奇遇だな、俺もお前が嫌いだ」 「うわ、ちょっ…痛、…あー…もうやだ、」 俺の反抗なんて、ちっとも効果ないみたい。いや、わかってたけど。誰かペア代わって。 痛みに悶絶してたら、後ろのあっきーが動く気配がして。反動的にそっちに目を向ければ、睨まれた。ってか、顔近い。 「何だよ」 「…、や…何も」 耳元で喋んないで。なんて言えないよ。怖いよ、この人。いじめっ子だよ。 俺を使ってこんなにストレス発散してるっていうのに、他に何の文句があるんだろうか。 泣いちゃうよ、俺、もう泣いちゃうからね。っていう気持ちを込めて睨むも、惨敗。 あっきーは不機嫌そうなその顔を、更に歪ませただけだった。 「…日曜、外に出るんだろ」 「いや、あの、顔近い」 「俺も一緒に行く」 「え、なんで―っい!いた、」 反論しようものなら肉体的苦痛を与える方向性で、なぜか俺に日曜のことを承諾させた秋吉君。超バイオレンス。俺の人権は保障されていますか、先生。 こんな風に彼の理不尽に耐えながら、今日も俺は元気に生きているのです。だから、誰かペア代わって。 そんなこんなで、一緒に外出することになった俺達だった。回想終わり。 (…何かもう…色々思い返したら目頭が熱く…) 校門近くの噴水という、この学園の定番待ち合わせスポットに一人佇む俺。切ない。 学園の規則として、出入りするなら校門って決まっている。 その流れでいくと、不良さんと平凡君が出かけるならここを通るしかない。だから、俺達がここで早めにスタンバイしてたら絶対見失わない。ってことなのです。ナイスアイデア、俺。 だがしかし。あっきーが来ない。あの金髪許さぬ。 そもそも、自分から言っておいて時間に遅れるってどういうこと。 待ち合わせの時間は一応早めに設定しておいたんだけど、あの二人してが先に行っちゃったらどう責任取るつもりだ。 あっきーに対する罰ゲーム的なやつを考えて暇つぶしをしていたら、やる気のない足音が聞こえて。 「あ、やっと来た。遅いよ、あっきー」 「…うっせ、」 不機嫌を全身で表現しながら、あっきー登場。やっとだ。結局30分遅刻。 しかも、来て早々態度でかい。遅れてきた自覚はどこに捨ててきたんですか…? 「つーか、集合時間8時って何だよ。馬鹿かよ」 「ああ、それはごめん。さすがに俺も眠い」 不良さんと平凡君の待ち合わせ時間がわからなかったから仕方ないさ。 で。さんざん文句を言われながら、俺とあっきーは木陰で待機。 あっきーのせいで心が折れそう。あの二人、早く来ないかな… 朝の空気のなか、木陰でしゃがみこむ俺とあっきー。 (なんだ、この状況…) 二人してそんなことを考えていた。 ----------------------------------- (木陰で待機ってどういうことだよ) (不良さんと平凡君が来たら後をつけるために決まってるでしょ) (…まさか、俺はてめえの腐ったイベントに巻き込まれたのか…?) (あれ、わかってて来たんじゃないの?) |