join | ナノ

全くもって嫌になる。
あの転校生が来てからというもの、生徒会は会長である俺だけで機能させている。
無能ならば、必要ない。
彼等をリコールすることなんて、赤子の手を捻るくらい造作もないことだ。それでも俺がそれをしないのには、引き継ぎが面倒だからという理由がある。
彼等がリコールということに納得するはずはないだろう。そうなれば引き継ぎの手伝いなんて到底してくれるとは思えない。ただでさえ忙しいのに、引き継ぎで時間を取られれば学園の管理が疎かになる。
俺の手を煩わせるなんて、後で覚えておけ。
生徒会室でギャーギャーと騒ぐ中心を睨み付ければ、お前もこっちに来いよ!なんてバカげたことを言われる。さらには役員たちからの酷い罵倒ときたものだ。俺はマゾなんて特殊な性癖じゃないんだから、全くもって嬉しくない。むしろ不快だ。それを全面に押し出せば役員、主に副会長が喜ぶから鼻で笑ってやるだけに留めた。悔しそうな副会長を一瞥して仕事に戻ろうとすると、やけに熱い視線を感じる。どうせマリモだ。気付かないふりをして書類と向かい合った。

静かになるどころか、一層騒がしくなる連中。そんな環境で仕事に集中なんてできるはずもない。
大量の書類を鞄に詰め、一番安全な風紀室に向かうことにした。生徒会と風紀は代々犬猿の仲。そのため、役員たちは風紀室の近くには寄り付かないし、役員たちがマリモとずっと一緒にいるためマリモも風紀室には寄り付かない。
俺自身風紀室なんて嫌いだったが、今ではまるで風紀室こそがエデンのように感じる。
ガチャリと風紀室の扉を開けば、またかというような表情で暖かく出迎えてくれた風紀委員長。ここがエデンなら、こいつは天使かといらぬ想像をして鳥肌がたった。
やはり風紀室での仕事は捗る。マリモという邪魔が入らないのだから当たり前のことだが。
風紀室以外に俺の休まる場所はない。自室は毎日のようにマリモに扉を叩かれ、そのうち壊れるんじゃないかと秘かに心配している。役員たちにもちゃんとマリモの手綱を握っておいてほしいものだ。
そういえば、役員以外にもマリモと行動している奴が二人いる。爽やかでそれなりに人気もある親衛隊持ちと、一匹狼とか言われている奴だ。マリモと一緒にいるなんて、どんな癖のある奴等だと思ったがあいつらは特に心配ない。
爽やかはマリモの母のように甲斐甲斐しくも俺の仕事の邪魔にならないようにと何度も何度も説得を試みてくれているから好感がもてる。役員たちをリコールしたら、彼を新しい役員に欲しいくらいだ。
一匹狼はというとただマリモに着いてくるだけで騒ぎもしなければマリモとも喋らず何が楽しくて毎日生徒会室に足を運んでいるのか分からない。俺にとって無害だからどうでもいいとしよう。

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -