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夏恋
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やってきたライブ当日。





そら先輩のバンド以外にも色んなバンドが演奏するとあってライブハウスは混雑していた。




演奏前にも後にもそら先輩目当ての女子が沢山いて声を掛けられそうもなかった。




さっきまで勇気を出そうと思っていた気持ちが揺れる。




やっぱ帰ろうかな・・・。





「夏子ちゃん!」





呼ばれて振り向くと、ギターを肩からかけたそら先輩がいた。




「そら先輩・・・」




なんだか泣きそうになって慌てて顔を振る。




「すっごく良かったです、先輩のギター」


「サンキュー。夏子ちゃんにそう言って貰えるとすげー嬉しい」








その笑顔は私にだけ?みんなにも向けてるの?





私だけがこんなにドキドキしてるの?





先輩はなんとも思ってないの?






そう思ったらなんだか悔しくなってきた。




「夏子ちゃん?」




急に黙った私を心配してくれたのか、そら先輩が顔を覗き込む。




その時、私の中のもやもやした思いとなにかがはじけた気がした。



気が付いたら、そら先輩の首に抱きついてキスをしていた。



彼女がいるかもとか好きな人がいるかもとかどうでもよくて




ただ、"好き"の感情をぶつけてしまいたかった。



「夏子ちゃん・・・」



「ごめんなさい・・・」




踵を返して走り去ろうとする私を先輩が止めた。



「待って!」




腕をつかまれ向きを変えられ




さっきの感情の表れとはまた違う優しいキスが降ってきた。



「そら先輩・・・」


「夏子ちゃん・・・オレ、夏子ちゃんが好きだ」


「先輩・・・」


「オレさ、今まで色んな子と遊んできたけど・・・夏子ちゃんだけはそういうのと違ってほんとに気になってた。だからちゃんと告白しようと思って、遊びの子全部別れてきたんだ」


「ほ、ほんとに?」




そら先輩が私を?



うそみたい・・・。こんなことして嫌われると思ってたのに。




「だから、さっきの夏子ちゃんのキス・・・嬉しかった」




まだぼーっとしている私をそら先輩がぎゅっと抱きしめてくれる。




「これからはずっと一緒にいようね」


「はい」




先輩と私の夏はここから始まる・・・。





-fin-

Byみゅー:dessert time

 

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