右手に箒 左手にちりとり 目の前には赤黄茶のおち葉の山。ダイブしたらどんなにふかふかだろう!…サッカー部のマネージャーになったとき、先にマネージャーになっていた秋ちゃんとこっそりふたりで決めたこと。いつでもどんな部活の部室よりもきれいにピカピカに!こうしていたら部員がもっと増えるような気がしたから。サッカー部なんて定番の部活なのに、どうしてこんなにも人気がないんだろう?たのしいのに。…部室の前のおち葉の山のとなりに三角座りして蜜柑色の空をぼんやり眺めた。

「なにしてるんだ?」
「わあ!??」
「わ、わるい…」

とつぜん蜜柑色の景色に現れたコバルトブルーの髪の毛を風に揺らす男の子は困ったようにわらった。制服すがただからもう帰るところかな。「部活は?」「ああ、きょうはもうおしまいなんだ」「そっか おつかれさま」「ああ、ありがとう」そういえばうちはいつ終わるんだろう?グラウンドのすみっこで練習してる円堂くんと染岡と半田とそばでクリップボードを持って見守る秋ちゃんは、どうやらまだまだつづけそうな様子。

「半田といっしょじゃないんだな」
「わたしってそんなにいつも半田といるかな?」
「結構な」
「どうしよう半田離れしないと…!」

風丸くんはなんとも爽やかに、べつにそんなことしなくてもいいと思うぞってわらってわたしのとなりに座った。きれいな横顔はまっすぐグラウンドの円堂くんたちの方を向いている。

「だって木園、半田とあとマックスな?そのふたりといるとすげー楽しそうだしさ」
「……」
「俺はそう思うけどな」

なんともやさしげにほほ笑む風丸くんがそう言うんだったらまちがいないだろう。なんだかちょっとはずかしいような気もち。…ほんとうはわかってたんだ ひそひそ言われるようなことがあること。おなじクラスのみんなはお前らほんとうに仲いいよなあってわらってくれるけど、ほかのクラスのひとたちはそうはいかない。もちろん女の子のともだちもちゃんといるし、その子たちといっしょにいることもある。その子たちといるのだってたのしいけれど、マックスと半田と3人でいるのだってすごくたのしい。

「半田やマックスだって木園といると楽しいからいっしょにいるんだろ?」
「…そうだったら、いいな」
「そうに決まってる」

な?…そうほほ笑んだ風丸くんに顔をのぞきこまれておもわず頷いてしまった。風丸くんたらお母さんみたいだなあ。でもこんなにかっこいいお母さんはきっと世界にひとりだけね。

「ありがとう、風丸くん」
「俺、お礼言われるようなこと言ったか?」
「んふふ、日ごろの感謝の気もちです」

橙色に染まるグラウンドから円堂くんのおおきな声が聞こえて風丸くんとふたりしてそっちを向く。ちょうどこっちを向いた半田と目が合った気がした。







「半田!マックス!わたしきょう風丸くんといっぱいしゃべっちゃったよ!うれしい!」
「はいはいよかったなー」
「学校からずうっとその話聞いてるんだけど」
※ 帰り道

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