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High risk!


「なぁ土方、お前胸おっきいのとちっさいの、どっちが好き?」

 隣のテーブルの若い女子二人を小さく指差しながら話す銀時に、土方は小さくため息を漏らした。
 いつもの銀時の思考回路を考えればわからない事もないが、それは今言わなければならない事なのか。答えは否だ。タイミングも場所も聞く相手も、全て間違えている。

「お前、マジでデリカシーねぇのな」
「ファミレスで出てきた料理に平気でマヨネーズかける奴には言われたくねぇ」

 シェフに謝れ、と手に持っていたスプーンを土方に向け、苦い顔をする。目の前でマヨネーズを大量に絞られれば当然の事だ。しかし土方は毛ほども気にせず、土方スペシャルをただひたすらに頬張る。

「つーか、俺は外見よりも中身重視だしな」

 口許に付いていたマヨネーズを舌でぺろりと舐め取り、一言そう呟いた。
 銀時はその仕草に少し土方の色気を感じたが、その舐め取ったものがマヨネーズである事を思い出して肩を落とした。

「なに、女みたいな事言うんじゃん」
「は?」

 マヨネーズをこれ以上見たくない銀時は目の前のパフェに視線を落とす。スプーンでそれをつっつきながら、土方をからかうように言った。が、土方は訳がわからないようで首を傾げている。
 誰かをからかう時、相手が何の事についてからかわれているのかを理解していなければ、からかった側の人間がスベったみたいな空気が流れる。今の銀時はそれを身に染みて実感していた。

「だァから、一般論で言やぁ男は外見重視、女は内面重視って相場がきまってんだろーが」
「あー、まぁな」

 土方はさもどうでもいいかのようにさらりと話を流した。食べ終えた土方スペシャルの丼をテーブルに置き、水を飲み干す。銀時がどんなにきつく睨んでも、その視線に土方が気付く事はない。
 痺れを切らした銀時が土方の腕を掴む。

「俺、お前が俺の中身見て好きになってくれたのかって期待したんだけど」
「いや違うけど」

 即答。

「馬鹿、土方の馬鹿、マヨネーズ王国にでも帰りやがれ」
「特別、」
「はい?」

 今度は銀時が理解できない側だった。半泣き状態の銀時は土方を見るが、その表情はやはりいつもと同じ。
 けれど、いつもと同じ顔でこんな事を言うものだから。

「お前は特別なんだよ」

 机に突っ伏して、そのまま数分間顔が上げられなかった。


PCサイト拍手お礼文でした

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