火神が成仏させるよ!
誠凛高校バスケ部一年で、幽霊が出るといわれている、体育館の裏にある男子トイレに来た。
正直なところ、さっさと帰りたい火神。何故なら彼は、お化けが大の苦手だからだ。
「もももももう帰ろうぜ?な?」
「何言ってんだよ、火神。今来たばっかりじゃんか」
「あーあ、黒子も来れば面白かったのにな」
火神がビビっていることに気づかない一年トリオ。彼らは護衛役として火神を連れて来たのだ。
「あ、ここかな?」
河原が懐中電灯をトイレの扉を照らしたその時だった。キィィィィィと何かが鳴り響く音。
「誰かいるのか?」
「ななな何言ってんだよ!」
「はっきり聞こえたな」
「行くか…!」
火神は最後尾からついていく。いつでもダッシュで逃げられるように。どうせ黒子でしたっていうオチだろ!?そうだと言ってくれ…!
降旗が扉を開け、照らした瞬間、
「で、出た〜!!」
「「うわぁあああああ」」
「は!?ちょ、お前ら…?!」
火神を押し退けてバタバタ駆けていく三人。まさかと思いつつ、目の前を見る。白い顔をしたなかなかのイケメンが立っていた。
「はあ……何?アンタもアイツらと仲間なの?」
「ゆゆゆゆ幽霊…?!」
「バカか。俺は幽霊じゃねぇし」
「え?マジで?」
火神の腑抜け顔に、ぶふっと吹き出す青年。とうとう腹を抱えて笑い転げた。
「わ、笑うんじゃねえよ!!」
「いやあ…ごめん、ごめん。お前サイコーだわ。俺と遊ばない?」
こてんと首をかしげる謎のイケメンに、火神は何故か頷いてしまった。それを見てイケメンは満足気に笑った。
「退屈させんなよ」
火神とイケメン
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