混ぜても危険!!!

さてさて、赤司君にやってもらうことは、至って簡単で実にシンプル!んー、でも、赤司君には難しいかなあ?


「で、その任務とやらは何だ」

「私を笑わせて欲しいの」

「は?」

「つーまーりー、私ってずっと無表情じゃん?笑顔忘れてるじゃん?だから赤司君に笑わせてほしいの」


「……面倒くさい」

「むーそんなこと言わずに!」


ぺちぺちとハサミの刃で赤司君の柔らかい頬を叩けば、不服そうに「分かったから止めろ」と言った。

よかった、赤司君のほっぺたを傷つけずに済んで。


「楽しいこととか、面白いことか…何かないのか」

「今が一番面白くて楽しいよ。ね、赤司君の楽しいことって何?」

「俺の楽しいこと……なんだろうな」

「えー?部活じゃないの?黒子君を紹介されていた時、ちょっと楽しそうだったし、試合に勝ってた時は、」
「ないよ」


赤司君は本来の調子を取り戻したらしい。鋭い刃のような声音で、私の言葉を裂いた。


「何、それ」

「だからないって言っているんだ。楽しいことなんてない。勝つことは当たり前だ。それは覆されない」

「ふうん」


顔が俯いているから、どんな表情しているか分からない。

でも、声は泣きそうで、震えていた。私はそれに何故か胸が疼いて、自分の口角が上がっていることに気づいた。


「あは、赤司君の泣きそうな声聞いたら笑えた」

「……お前と居たら調子が狂う」

「いやあ、そんなに誉められると照れるなあ」

「褒めてねえよ」
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赤司君、何かに気づいて泣きそうになるの巻
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