世界はそれをストーカーって呼ぶんだぜ?×4


最近、俺のストーカーが来ない。バスケ部に入部した理由とか、今日のパンツの色は……いや、これは聞かれない方がいいのか。
何故かムカついてしまい、乱暴にボールをリングへ叩き込む。あースカッとしない、モヤモヤする。

「あーなんかモヤモヤするんスけど、なんっスか?これって」

「俺に聞かれても困るっつーの」

「そんなぁ…青峰っち、考えてほしいっス」

しょんぼりした俺に青峰っちが「そーいえば」と思い出したかのように話し始めた。



「っくそ!!」

何故俺は気づかなかったんだ。自分を責めるのは後に回して、とにかく走る!!

『黄瀬の言ってたストーカー?アイツ、女子達が―――』

『お前ってさーソイツのこと、』

「あ!ねえ、こんくらいの身長で、野暮ったい感じの女の子を見なかった?」

「えっ!?えーと、南校舎の裏に女の子たちと一緒に――」
「ありがと!」

急いで南校舎裏に向かう。赤司っちのいつも出す練習量のおかげで全然苦しくない。気持ちが、心が、苦しい。

「あ……黄瀬、君」

「…………遅かったか」

地面に倒れているストーカーに駆け寄る。白い制服が土や泥にまみれて黒くなって汚れている。

「誰がこんな酷いことを…!」

「……これくらい、黄瀬君を追っかけている時と同じくらいの汚れですから」

「んなわけ――」
「黄瀬君のバスケをしている姿、とってもかっこよくて大好きです」

こんなになじられて、汚されて、まだ大丈夫なわけがない。それでも、笑顔を浮かべて懸命に俺を褒めるのが……辛かった。

「このままいけば全中――」
「もう、いい加減にしてくれよ!」

「っ!」

俺は、逃げた。もう痛々しい彼女を見たくなかった。