世界はそれをストーカーって呼ぶんだぜ?×3


最近、黄瀬君はバスケ部に入部したようです。元から運動神経がよかったために、すぐに一軍へ、更にレギュラーに入りました。流石、私の王子様。自分のことの様に嬉しかったのです。

「あ……また入ってる」

ただ、黄瀬君がバスケ部に入ってから私のシューズが汚れて、ゴミが入っているようになりました。

歩けば女の子達にぶつかり、教科書がぼろぼろの状態でゴミ箱に放置されていました。

「はあ…」

静かな図書室。ここは私の聖地です。もちろん、黄瀬君が居る場所は全て聖地なのです。最近は黄瀬君に会えていませんね……。そう肩を落としていたら、視線を感じました。

「あの…私、何か変ですか…?」

「! いえ、黄瀬君をいつも追いかけている人に似ていたので……」

「あはは…恥ずかしいです」

私を見ていた人物は水色の髪をもち、儚い雰囲気の小柄な男の子でした。すると彼は私の隣に座ってきました。ちょっとびびります…!

「あ、あの…?」

「いつも元気そうなのに、最近は悩んでいて苦しそうだと…思って。ボクに話してください」

「へ…?」

初対面で話せるわけないのに何故か私はぽろぽろ話した。多分、捌け(はけ)口がなかったとか、彼の人柄の良さがそうさせたのでしょう。

話し終わると、彼は優しく背中を擦ってくれました。同じくらいの身長なのに、黄瀬君と同じくらい大きく見えました。

「黄瀬君は…寂しがってます。しかし、そのイジメは……」

「黄瀬君が傷つけられるのは嫌なんです。こんなの、ワガママですが…っ!」

ぽたぽた落ちていく涙はスカートの色を変えていく。黄瀬君には、どうか黄瀬君にはこんな苦い涙を流してほしくありません。水色の彼は私が泣き止むまで、優しく背中を擦ってくれました。



水色の彼にお礼を言った後、教室に戻ろうとしたら複数の女の子達に囲まれてしまいました。え、なんかヤバいフラグですか…?

「ちょっと、着いてきてよ。ね?」

「……はい」

有無を言わせない空気に私はそのまま人気のない場所へ連れて行かれました。あ、ここ幽霊が出るとか噂の…!

「あんた、黄瀬君のなんなの?」

「ちょっと聞かなくても分かってんじゃん!ストーカーだって」

「違います!私は…っ?!げほっげほっ」

反論しようとしたら、お腹を蹴られてむせてしまいました。起き上がろうとしたら、ドンっと肩を蹴られて起き上がれません。痛いです……。

「黄瀬君にメーワクなんだよ!」

「死ねよブス!」

「あははは!ちょーウケる!!」

「ねえ、腕を折っちゃお!」

土や泥で汚れていく制服。私って……黄瀬君に迷惑をかけていたのでしょうか?目障りだったのでしょうか?

後悔をしているはずなのに、黄瀬君に助けを求めている自分がいる。

何時になったら終わるのでしょうか。