世界はそれをストーカーって呼ぶんだぜ?×2


私は走っている。目の前の王子様を、ゲットするために。


「なんで追っかけてくんだよ!!」

「あなたが!逃げ、るから!です!」

「そりゃ逃げるっつーの!」


廊下の窓から逃げた王子様、もとい黄瀬君。逃がしませんよ…!私は執念深いですから!


「っ、ふあ!?」


べしょ。足から変な風に飛び込んでしまった。うぅ…痛いです。足の痛みより黄瀬君の動向が気になり、すぐさま立ち上がろうと、するんだけど…。


「……わあ、足…挫いちゃいましたか……。でもそんなの関係ないです!」
「……あんた、足挫いたの?」


目の前に黄瀬君がいた。呆れているようです。わわ、黄瀬君が近くて私…心臓が持ちそうにありません…!


「いいいいや!別に大丈夫っ……いたた…」

「……はあ。ほら、腕かして」

「は、はい…?」


ふわっと横抱き…これはお姫様抱っこ!なんか今日は吉日です!私、ツイてます!


「ていうか、なんで俺のことが好きなの?」

「きっかけは……私が落としてしまったプリントを誰も拾わなかったのに、拾ってくれたことですかね……今となっては好きすぎて分かりませんが」

「あっそう」


興味がないような言葉で返した割には、耳が赤くなってるのに気づいた。黄瀬君ってカッコイイし、可愛いなあ。


「黄瀬君の彼女さんはきっと幸せですね」

「俺、彼女いないけどね」

「えっ、本当ですか?意外ですね」


そう本音を漏らすと黄瀬君は苦笑いをした。ああ、幸せだなあ。そんなつかの間の幸せは、この日で最後だった。