8 アラジンは魔法のことをヤムライハに教わってから、どんどんのめりこむようになった。 アリババは剣術をシャルルカンに、モルジアナはマスルールに教わっている。一方の璃里は、政務官であるジャーファルに座学を学んでいた。 「さて今日も座学を、と言いたいところですが、どうやらシャルルカンが君に用があると言ってね」 「シャルルカンさんが…?」 「おせーぞ璃里、シャルルカン様が直々に来てやったぞー。おはようございまーすジャーファルさん」 用とは何だろうか。璃里は首を傾げて推理するが何も浮かばない。考え込む彼にシャルルカンが手刀をした。 「あいたっ!な、なんですか…」 「璃里、お前はここんところ顔を見せねえじゃんか。剣術磨かねえのかァ?」 「それは…ジャーファルさんに座学を教えて頂いていたので…。すみません」 「へえ〜ジャーファルさんから教わるって…」 苦虫を潰したような表情をするシャルルカンに、ジャーファルは「おや、シャルルカンもしたいのですか?」とにっこり微笑む。 その背景には黒いルフがふよふよと浮かんでいるものだから恐ろしい。シャルルカンは全力で首を横に振った。 「い、いや!俺は頭よっか身体を動かす専門だからいいっすわ!ほら璃里行くぞ!!」 「え、うわ、シャルルカンさんっ!?」 「鍛錬もいいですが、璃里に手加減をしてくださいね」 「了解でーす!」 かくして、璃里はシャルルカンに荷物を担ぐように運ばれたのであった。 ジャーファルは無情にも気をつけて、と止めなかったのだから、彼は羞恥と寂寥に頭を占められた。 prev / next |