7 熱そうだと璃里は床に転がるアラジンを見て思った。以前、彼もヤムライハにされたことがある。彼の場合は熱ではなく、冷水だったが。 「だっ、大丈夫かアラジン!?」 「大げさね、 ちょっと集めた水を蒸気にして放出しただけよ!」 「なるほど、そういう原理だったのですね」 「璃里も受けてみる?」 結構です、と璃里は首を横に振った。ヤムライハの魔法はもうあれで十分だ。 「あんたたち…今度やったら、あんたたちの身体ごと蒸発させるわよ」 「どうして僕も……!」 「あんた、避けたでしょ。見てたんだからね!」 「おねえさんって…やさしそうなのに、やさしくないんだね…」 「余計なお世話よ…」 ヤムライハは溜め息を一つ吐いた。伝説の「マギ」だというのに、ただのエロガキでぽっちゃりしている子どもだ。 「「マギ」相手だと、気を遣うのかい?」 「そりゃ、「魔導士」の私から見たら格上だもの」 「「魔導士」ってなんだい?」 何も知らないアラジンに、ヤムライハは頭を抱えた。「マギ」なのに……伝説の「マギ」なのに…! 「知りたいんだ、おねえさん。どうか、僕に教えておくれよ」 アラジンの真剣な表情に動かされたヤムライハは、机に近づいた。「マギ」と「魔導士」について、話し始めた。 prev / next |