はちかけ! | ナノ



ヤムライハと顔を合わせた途端、彼女は璃里の右腕をガシッと掴んだ。


「もう璃里!いつになったら私の『手ほどき』を受けに来るの!?」

「いや、それは……」

「て、『手ほどき』!?」


思春期街道真っ只中のアリババとアラジンは、ぽわわ〜んとあらぬ空想を膨らませた。


「ち、違います!魔法のことです!ああ、ほら、ヤムライハさん早く自己紹介してください!」

「今日、絶対に来るのよ…?」


耳元で地面を這いずるような低い声に背筋を凍らせる璃里。そんな彼に全く気づかないアラジンとアリババ。


「こほん、先程紹介に預かりましたヤムライハです。私などが『マギ』様のお役に立てるか不安ですが…なんなりとお聞きくださいね」

「さっきはちょっとびっくりしたけど、すげーキレイで優しそうな人だなぁ。なぁ、アラジン?あれっ?」


横に居たアラジンの姿が居ない。視線を戻して見れば、ヤムライハにフラフラと近づくアラジンが。

ヤムライハの隣に居た璃里は、嫌な予感を察知して、さりげなく彼女の腕をほどいた。


「おねいさん!」

「きゃあああ!!」


モフモフとヤムライハの胸を堪能するアラジン。止めに入ろうとしたが、彼女の握る杖の先が淡く灯るのを見て、アラジンに心の中で謝った。


「やめろクソガキが!!」

「!!?」


ジュワッと蒸気に包まれるアラジンに、アリババは触れようとするが熱くて触ることができない。

prev / next

bookmark
[ back to top ]





「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -