6 ヤムライハと顔を合わせた途端、彼女は璃里の右腕をガシッと掴んだ。 「もう璃里!いつになったら私の『手ほどき』を受けに来るの!?」 「いや、それは……」 「て、『手ほどき』!?」 思春期街道真っ只中のアリババとアラジンは、ぽわわ〜んとあらぬ空想を膨らませた。 「ち、違います!魔法のことです!ああ、ほら、ヤムライハさん早く自己紹介してください!」 「今日、絶対に来るのよ…?」 耳元で地面を這いずるような低い声に背筋を凍らせる璃里。そんな彼に全く気づかないアラジンとアリババ。 「こほん、先程紹介に預かりましたヤムライハです。私などが『マギ』様のお役に立てるか不安ですが…なんなりとお聞きくださいね」 「さっきはちょっとびっくりしたけど、すげーキレイで優しそうな人だなぁ。なぁ、アラジン?あれっ?」 横に居たアラジンの姿が居ない。視線を戻して見れば、ヤムライハにフラフラと近づくアラジンが。 ヤムライハの隣に居た璃里は、嫌な予感を察知して、さりげなく彼女の腕をほどいた。 「おねいさん!」 「きゃあああ!!」 モフモフとヤムライハの胸を堪能するアラジン。止めに入ろうとしたが、彼女の握る杖の先が淡く灯るのを見て、アラジンに心の中で謝った。 「やめろクソガキが!!」 「!!?」 ジュワッと蒸気に包まれるアラジンに、アリババは触れようとするが熱くて触ることができない。 prev / next |