5 「お前の部屋はここだ。逃げられると思うなよ」 璃里が連れて来られたのは、牢屋のような暗く寂しいところだった。よく目を凝らしてみると、赤い髪の少女がいた。 「キミも、奴隷なの?」 「……そうです。あなたと同じです」 「あー、そうなんだ。名前は?」 「モルジアナです。よろしくお願いします」 深々と頭を下げるモルジアナに璃里は「ワタシは璃里だ」と手を差し出した。彼女は恐る恐る手を握った。 「おお、力が強いんだね!」 「あっ、すいません。女性の方にこんな力強く…」 「ワタシ、男だよ?」 「えっ…?そんなあり得な……いえ、すいません。ご無礼をお許しください」 「もう慣れちゃっているから気にしてないよ!ほら、顔を上げて」 モルジアナは男と言った璃里をまじまじと見た。よく見たら肩幅があり、少し男性的だ。彼は不思議そうな顔をしていたが、彼女は気づかなかった。 「ね、ね、領主サマってどんな人?」 「あの人は……」 モルジアナは顔を青くした。かつて、彼が彼女に対しての態度を思い出してしまったのだ。その様子を見た璃里は慌てて「ごめんね!やっぱりいい!」と取り消した。 prev / next |