はちかけ! | ナノ



「お前の部屋はここだ。逃げられると思うなよ」


璃里が連れて来られたのは、牢屋のような暗く寂しいところだった。よく目を凝らしてみると、赤い髪の少女がいた。


「キミも、奴隷なの?」

「……そうです。あなたと同じです」

「あー、そうなんだ。名前は?」

「モルジアナです。よろしくお願いします」


深々と頭を下げるモルジアナに璃里は「ワタシは璃里だ」と手を差し出した。彼女は恐る恐る手を握った。


「おお、力が強いんだね!」

「あっ、すいません。女性の方にこんな力強く…」

「ワタシ、男だよ?」

「えっ…?そんなあり得な……いえ、すいません。ご無礼をお許しください」

「もう慣れちゃっているから気にしてないよ!ほら、顔を上げて」


モルジアナは男と言った璃里をまじまじと見た。よく見たら肩幅があり、少し男性的だ。彼は不思議そうな顔をしていたが、彼女は気づかなかった。


「ね、ね、領主サマってどんな人?」

「あの人は……」


モルジアナは顔を青くした。かつて、彼が彼女に対しての態度を思い出してしまったのだ。その様子を見た璃里は慌てて「ごめんね!やっぱりいい!」と取り消した。

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