はちかけ! | ナノ


13

晴れて共和国になったバルバット。しかし、海からまた一つ二つと災難はやってくるのだ。


「煌帝国の船!?」

「何故煌帝国が…!」

「恐らく、共和政になるのを快く思わなかったのだろう……」


シンドバットの推論はアリババを不安にさせた。だが、親友を亡くし、己の責務が分かったアリババは迷いなく言い放った。


「でも!また俺はみんなを見捨てたくない!!」

「アリババ君…」


アラジンと璃里が不安そうにアリババを見た。するとシンドバットは、躊躇いもなく彼の鳩尾に拳を叩き込んだ。

ぐったりと気絶したアリババを、璃里が支える。


「アリババ君には悪いが…」


これもまた運命なのだろう。苦痛に歪むアリババの横顔を見て、璃里は目を閉じた。


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船に乗った璃里達は、手持ちぶさたになった。後はシンドリア王国に無事に着けばいいこと。


「暇だねえー」

「そうですね…」

「…そうだ!僕がお二人を占いましょう」

「占い?なんだい、それは?」


璃里はアラジンにわかりやすいように、噛み砕いて説明した。

占いとは、その人の未来が分かり、吉凶という良いことや悪いことを知ることができるもの。

璃里は懐から久しぶりに出した。母から貰った筮竹(ぜいちく)は相変わらず綺麗だ。


「その棒、綺麗だね」

「ワタシの母が物心つかない頃のワタシに贈ったそうです。これだけで…母を知ることができます」

「いいですね」

「いいねえ。僕にもお母さんやお父さんがいるのかなあ」

「アラジン君にも、モルジアナちゃんにもきっと産んでくださった方がいます」


そうだね。会ってみたいな。アラジンは璃里の筮竹を見ながら、まだ顔を見ぬ両親へ思いを馳せた。

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テーマ「人外ファンタジー」
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