13 晴れて共和国になったバルバット。しかし、海からまた一つ二つと災難はやってくるのだ。 「煌帝国の船!?」 「何故煌帝国が…!」 「恐らく、共和政になるのを快く思わなかったのだろう……」 シンドバットの推論はアリババを不安にさせた。だが、親友を亡くし、己の責務が分かったアリババは迷いなく言い放った。 「でも!また俺はみんなを見捨てたくない!!」 「アリババ君…」 アラジンと璃里が不安そうにアリババを見た。するとシンドバットは、躊躇いもなく彼の鳩尾に拳を叩き込んだ。 ぐったりと気絶したアリババを、璃里が支える。 「アリババ君には悪いが…」 これもまた運命なのだろう。苦痛に歪むアリババの横顔を見て、璃里は目を閉じた。 888 船に乗った璃里達は、手持ちぶさたになった。後はシンドリア王国に無事に着けばいいこと。 「暇だねえー」 「そうですね…」 「…そうだ!僕がお二人を占いましょう」 「占い?なんだい、それは?」 璃里はアラジンにわかりやすいように、噛み砕いて説明した。 占いとは、その人の未来が分かり、吉凶という良いことや悪いことを知ることができるもの。 璃里は懐から久しぶりに出した。母から貰った筮竹(ぜいちく)は相変わらず綺麗だ。 「その棒、綺麗だね」 「ワタシの母が物心つかない頃のワタシに贈ったそうです。これだけで…母を知ることができます」 「いいですね」 「いいねえ。僕にもお母さんやお父さんがいるのかなあ」 「アラジン君にも、モルジアナちゃんにもきっと産んでくださった方がいます」 そうだね。会ってみたいな。アラジンは璃里の筮竹を見ながら、まだ顔を見ぬ両親へ思いを馳せた。 prev / next |