12 重く暗い雲が空からなくなり、日が差しても尚、アリババはカシムに謝罪を続けていた。 「アリババ君、いつまでも泣いてちゃ駄目だよ」 「でもよ……」 「彼が行けなくなっちゃう」 「えっ…?」 アリババ達の前に、二つのルフが降り立った。前バルバット王とアリババの母親だ。二人は優しい眼差しでアリババを見つめた。 「おふくろ!親っ、バルバット先王!」 「アラジン……これは…?」 「彼らは彼らだったルフだけど、今では大きなものの一部となって、世界を包み流れている。だから、人が死ぬのは悲しいけれど、永遠のお別れなんかじゃないんだよ」 アラジンの言葉に、アリババは地面についていた手のひらを握る。永遠の別れじゃない。そう思うと、彼がどこかで笑っているような気がした。 「君の生き方を、やり方を、彼らはいつも見ている。ずっと…見守っている」 優しく微笑むアリババの母、にアリババは顔を明るくさせた。 璃里はぐっと唇を噛み締め、零れそうな恐怖に怯える言葉を抑え込んだ。義母は、友人ができて、幸せな僕を、 「璃里おにいさん、顔色が悪いけど……大丈夫かい?」 「っ!大丈夫です。ちょっと安心して…」 「それならよかった…。さあ、皆!行って!!」 そしてアラジンが杖をもう一度振ると、ルフが形を変え、人々の姿になった。 ある者は兵士の元へ行き、ある子は母親の元へ向かった。 更にアリババの元には、カシムとマリアムが降り立った。カシムは何も言わず、柔らかく微笑んだ。 「ねえ、君は本当に彼らを救えなかったと思うかい?君の友達もこの国の闇も、晴れたんだよ」 アラジンがアリババに語りかけていると、モルジアナ達が帰ってきた。モルジアナは三人の姿を見て、声を上げた。 「モルさん!」 「アラジン!アリババさん!璃里さん!」 「うわ、ちょっモルジアナ!?」 再会できたのが嬉しいのかモルジアナは三人に飛び込んだ。この国の闇が晴れた様に、四人にも笑顔が戻ってきた。 prev / next |