はちかけ! | ナノ


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璃里に氷柱が当たりそうになったその時、黒い巨人にひび割れるように、中から光が差してきた。


「アリババ君…!」

「チィっ…!」

「ジンが…崩れる」


しばらくすると、アリババが出てきた。

そしてジュダルが地面に落下した。ぐったりとした様子で、倒れ込んでいる。

イスナーンは素早く黒いドームのようなものにジュダルを包み、自分の方へ引き寄せた。


「また会おう、マギ…そして妖刀の持ち主よ」

「何故、それを…!?」


璃里は問いかけたが、その答えは返ってこなかった。イスナーンはジュダルと共に消えたからだ。

アラジンと璃里は、カシムの黒くなった身体を抱くアリババの元に向かった。


「これは……」


カシムの遺体は異様だった。黒くなり、肌の艶がなくなってまるで木が枯れたようだ。これが闇の金属器を使った者の末路。


「おかえり…アリババ君」


カシムを抱えながら号泣するアリババを見て、アラジンの目から涙が静かに落ちる。璃里も一粒、涙を落とし、静かに黙祷した。

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一方、シンドバットに斬られたイスナーンの首は、海に沈んでいた。目から蛇が一匹這い出て、どこかへと去った。

そして、ジュダルを囲むようにぐるりとできた円。ジュダルを囲む者達は皆、顔を隠すように白い布を頭に纏い、金属でできた杖のような物を握っている。


「おや…」

「これは」

「やられましたな」

「やられましたねえ」

「しかし、致し方あるまい。聖宮で匿われていた例のマギが現れてはね」

「しかもそのマギとは、彼の選んだ王の器は、あの第一級特異点のあの男と手を組みつつある」

「ううむ……」

「案ずる必要はないでしょう。単にいつものソロモンの傲慢なる郷前でしょうから」

「似たようなことは、数世紀おきに何度かあったこと」

「我々はただ屈せずに立ち向かえばよいのです。それに、刀もそろそろ仕上がる頃」

「そうですね」

「あの刀も遂に完成ですか…」

「その通り……」

「我々は未来永劫、この世に暗黒を創り続けるといたしましょう」

「「「アル・サーメンのアジェンダのままに」」」

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