10 アラジンは大きく仰け反ると、ルフを自身へ集め始めた。そしてルフは収縮して、アラジンの中へ入っていってしまった。 「アラジン……今のは…?」 「みんなに来てもらったのさ!君と君の友達を繋ぐために」 「みんな、ですか…?」 「アラジン……でも、剣は折れちまっている」 「大丈夫!僕たちの力を合わせれば、剣は蘇る!」 更にアラジンは、熱魔法を作り始めた。杖の先に球体が膨張していく。それをアリババに降り注いだ。 剣は炎を吸い込み、アモンの剣は復活した。アリババは握り締め、カシムへ向かって走り出した。 「うぉおおおおお!!」 剣は刺さったが、ズルズルと飲み込まれていく。アリババは抵抗するが、それも意味がなく、カシムの中へ吸い込まれた。 「あ、アリババ君…!?アラジン君、これは…?」 「ソロモンの知恵さ。彼らは話さなければいけない」 なるほどと璃里が頷いていると、氷柱が頬を掠めた。ジュダルが「てめえ俺に何をしやがった!!」と憤慨している。 「おにいさん、力を貸してくれるかな?」 「もちろんです」 「彼にソロモンの知恵が使えればいいんだけれど……」 「では、ワタシが気を惹き付けます」 二人は確認したあと、璃里は力強く走り出した。ジュダルは忌々しそうに、氷柱を投げる。それを飄々とかわしていく。 「クッソ!!ちょこまかウザいんだよッ!!」 「アラジン君!」 「うん!」 アラジンの動きに気づき、ジュダルは彼に向かって氷柱を投げつけた。防御魔法が薄まっていたため、背後に氷柱が突き刺さった。 「やっぱり殺るしか……」 「それは駄目だよ、璃里おにいさん!」 「どうしてですか…アリババ君の親友を、操っているのは彼らなのに…!」 「そんなことをしたって、解決なんかしない。とにかく、アリババ君の帰りを待ちながら彼にソロモンの知恵を…っと!」 ジュダルがまた氷柱を投げつけてきた。必死にかわしていく。アラジン君は僕より考えているんだ。璃里はそう思うと、自分の短絡的な考えが恥ずかしくなった。 prev / next |