9 周囲の者達は息を飲んだ。ジュダルはつまらなさそうに「ジンが出せないんじゃ、ただのガキじゃねぇか」と言って、またカシムに氷柱を投げるように命令した。 「でもね、ウーゴくんは僕に力を残してくれたんだ」 「白い、巨人…!?」 「なんだよ…ただの熱魔法じゃねえか。つまんねーガキだ、な!」 ウーゴくん…僕はもう大丈夫だよ。君に教えてもらったし、たくさんの友達ができたんだ!ウーゴくん…僕はもう一人じゃないよ。 これがマギの力…。アリババの隣で、璃里はただ傍観するしかなかった。黒い巨人と白い巨人。 「ハルハール・インフィガール!」 光がジュダル達を包んだ。アラジンはモルジアナの方を見た。 「モルさん、おじさんを町に連れて行ってくれないかな?」 「で…でも、」 「ここは大丈夫!おじさんに会わせたい人がいるんだ」 アラジンの言葉に頷き、モルジアナはシンドバットを連れて行った。 今日のアラジンは違う…これなら、勝てるかもしれない…!アリババはそう確信した。しかし、アラジンはこう言った。 「うん、僕だけじゃ勝てないな」 「えっ!?なに、言って……」 「だけど、アリババ君の力があれば勝てる」 「んなこと言ったって……俺にはもう力がないし…」 「アリババ君、僕も支えます」 「璃里…」 「それにアリババ君、これを見て」 アラジンが空中に杖を振ると、町の様子が映し出された。暴動を起こす市民に、違う市民が目を覚まさせている。人々が、また再生を促している。 アラジンはこれを不死鳥だと例えた。何度でも、何度でも、屈することなく蘇る。 prev / next |