7 「アラジン、アラジン!」 「ねえ、この子…死んじゃったんじゃないの…?」 「死んでません!アラジンはまだ……」 璃里はギュッとアラジンの右手を握り、必死に祈った。アラジン君、早く目を覚ましてください…! 璃里の祈りが通じたのか、数分後にはアラジンの顔に色が戻ってきた。 「よかった。顔に赤みが戻ってきた。じゃあ、後は頼みます。王宮に向かうぞ、マスルール」 「はい」 「璃里はアラジンを看ていてくれないか?」 「わかりました」 着いていきたいのは山々だが、もしアラジンが目を覚ました時に、アリババのことを伝えなければならない。 アラジンはウーゴくんによって、アリババの状況を知らされているが。そのことは璃里は知らなかったのだ。 「アラジン君……」 ただただ祈るしかなかった。僕が治癒魔法でも知っていれば、アラジン君を助けられるのに…! 一方、外に出たジャーファル達は惨状を目の当たりにした。黒いルフが飛び交い、人々が武器を持ち……まるで戦争だ。 「……市民を助けるぞ、マスルール」「ウス」 王宮の方でも暴動が起きている。しかし、目の前の悲惨な状況を見ていることはできず、暴動を起こす市民を縛り付ける。 早くシンの元へ行かなければ…!焦るジャーファルだが、助けを求めている彼らを見捨てられなかった。 prev / next |