6 アリババが王宮に行ったという報せを聞き、シンドバットのいる所へ向かう。 「シンドバットさん!アリババ君が王宮へ行ったって本当ですか?」 「ああ。もう少しすれば、シンドリアからの応援がくるというのに…」 「でも…アリババ君らしいですね」 「まだ間に合うかもしれない…俺は王宮へ向かう」 「はい」 珍しくシンドバットの顔には、焦燥の色が浮かんでいた。彼が出ていったあと、アラジンが寝かされている部屋から、女性の声が聞こえた。 「ねえ、この子の様子…なんだかおかしいわよ?」 「どうかされましたか?」 璃里達はアラジンを見た。彼の髪がまるで風になびいているように、ふわふわと動いている。更に、ルフが彼の周りを飛び始めた。 「ルフがはっきり見えるまで集まってきている…!」 「これは……」 そしてついには目も開けていられないくらいの風と光が、アラジンの周りを取り囲む。 「ルフが…!?」 ルフはやがて弾けるように、部屋を飛び出していった。慌てて外に出ると、ルフの大群は王宮へ向かって行った。 (アラジン君……君は、いったい…?) 部屋に戻り、アラジンを見ると呼吸をしている様子が見られなかった。ジャーファルが彼の肩を掴み、必死に呼びかけるが、何も反応を示さない。 「嘘、だ……」 prev / next |