はちかけ! | ナノ



アリババが王宮に行ったという報せを聞き、シンドバットのいる所へ向かう。


「シンドバットさん!アリババ君が王宮へ行ったって本当ですか?」

「ああ。もう少しすれば、シンドリアからの応援がくるというのに…」

「でも…アリババ君らしいですね」

「まだ間に合うかもしれない…俺は王宮へ向かう」

「はい」


珍しくシンドバットの顔には、焦燥の色が浮かんでいた。彼が出ていったあと、アラジンが寝かされている部屋から、女性の声が聞こえた。


「ねえ、この子の様子…なんだかおかしいわよ?」

「どうかされましたか?」


璃里達はアラジンを見た。彼の髪がまるで風になびいているように、ふわふわと動いている。更に、ルフが彼の周りを飛び始めた。


「ルフがはっきり見えるまで集まってきている…!」

「これは……」


そしてついには目も開けていられないくらいの風と光が、アラジンの周りを取り囲む。


「ルフが…!?」


ルフはやがて弾けるように、部屋を飛び出していった。慌てて外に出ると、ルフの大群は王宮へ向かって行った。


(アラジン君……君は、いったい…?)


部屋に戻り、アラジンを見ると呼吸をしている様子が見られなかった。ジャーファルが彼の肩を掴み、必死に呼びかけるが、何も反応を示さない。


「嘘、だ……」

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