4 このまま足枷が付けられてしまうのだろうか。璃里は冷めきった目でブーデルを見ていた。一方のブーデルは、いい奴隷候補…いや、もしかしたら娼婦としても使えるな、とあれこれ思案していた。 「あ!りょ、領主様!ご機嫌はいかがでしょうか〜?」 「…………」 ブーデルが必死に機嫌をとろうとゴマをするが、領主ジャミルは璃里を見ていた。 璃里は目を逸らさずに睨み付けた。ジャミルは口角だけ上げると、ブーデルに話しかけた。 「ブーデル、この美しい女はどうしたんだ?」 「コイツは私めの商売道具に手を出したのですよ!その罰として――」 「俺に譲ってくれないか?」 「えっ!え、え…ええ、もちろん!」 畜生、だからコイツは気に食わないのだ。ブーデルは心の中で唾を吐いた。璃里はまた女と勘違いされたことに対して、眉に皺を寄せていた。 「すまないな、ブーデル」 「いえいえ、滅相もございません」 ジャミルが顎で「行け」と指示した。ブーデルはニコニコ笑いながら、去って行った。 「布を取ってやれ。お前の名前は?」 「……璃里です」 「そうか。今日からお前の主人は俺だ。ん?お前、奴隷じゃなかったのか」 「そうですね。ワタシ、占い師ですし」 ジャミルはふうんと納得したような言葉を漏らした。璃里は嫌な予感を察知したその時だった。 「ぐふっ!」 「主人に舐めた態度をとるんじゃないよ、君」 「げほっ!げほっ!」 ジャミルが璃里の腹を狙って蹴ったのだ。口から出るのは胃液だけだ。うずくまる璃里の艶がある前髪をわしづかみ、こう言い放った。 「俺がお前を躾てやる」 prev / next |