はちかけ! | ナノ



夜。璃里がアラジンの隣で見守っていると、頬を腫らしたアリババが帰ってきた。


「アリババ君!?どうしたの、その頬は……」

「ちょっと…な。ていうか、璃里、さっき舟を漕いでたぞ。さっさと寝ろよ」

「アリババ君が寝たらね」

「ったく。なんだよ?子守唄がなきゃ眠れないのかー?」

「ち、違います!」


璃里の慌てぶりにアリババは笑う。分かってる。アラジンを看ていてくれたんだろ。ありがとな。

アリババは璃里の隣に腰かけた。彼は心配そうにアラジンを見つめていた。


「たまに、さ。大切な人が死んだらって想像しない?」

「あー…するかも」

「アラジン君は、大丈夫だよね」


自分に言い聞かせるように頷く璃里の頭に、ぽんとアリババは手を置いた。


「当たり前だろ。アラジンはマギだから、大丈夫だ」


マギっていうのをよく知らないけど、ジュダルっていう奴もマギと言って、すごく強かった。だから、アラジンは大丈夫だ。

根拠はあやふやだが、何故かアリババはそう思った。


「んじゃ、寝るか」

「ふわぁぁ…そうだね。な、なに、そんな見て」

「……璃里のあくび、初めて見た」


目を丸くしてじっと見つめるアリババに、璃里は耳を赤くして苦笑した。


「そうかな。僕だって……いや、何でもない」

「なんだよ!僕だって?」

「秘密です」


僕だって、妖刀が入っているけど、人間なんだって言えるわけないじゃないか。

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テーマ「人外ファンタジー」
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