4 夜。璃里がアラジンの隣で見守っていると、頬を腫らしたアリババが帰ってきた。 「アリババ君!?どうしたの、その頬は……」 「ちょっと…な。ていうか、璃里、さっき舟を漕いでたぞ。さっさと寝ろよ」 「アリババ君が寝たらね」 「ったく。なんだよ?子守唄がなきゃ眠れないのかー?」 「ち、違います!」 璃里の慌てぶりにアリババは笑う。分かってる。アラジンを看ていてくれたんだろ。ありがとな。 アリババは璃里の隣に腰かけた。彼は心配そうにアラジンを見つめていた。 「たまに、さ。大切な人が死んだらって想像しない?」 「あー…するかも」 「アラジン君は、大丈夫だよね」 自分に言い聞かせるように頷く璃里の頭に、ぽんとアリババは手を置いた。 「当たり前だろ。アラジンはマギだから、大丈夫だ」 マギっていうのをよく知らないけど、ジュダルっていう奴もマギと言って、すごく強かった。だから、アラジンは大丈夫だ。 根拠はあやふやだが、何故かアリババはそう思った。 「んじゃ、寝るか」 「ふわぁぁ…そうだね。な、なに、そんな見て」 「……璃里のあくび、初めて見た」 目を丸くしてじっと見つめるアリババに、璃里は耳を赤くして苦笑した。 「そうかな。僕だって……いや、何でもない」 「なんだよ!僕だって?」 「秘密です」 僕だって、妖刀が入っているけど、人間なんだって言えるわけないじゃないか。 prev / next |