2 「……大切にしろ、か」 マスルールに担がれながら聞いた言葉。寝台に寝かされた璃里は、ギュッと手のひらを握る。 籠の中に入れられて、ただ傍観に徹するなんて、僕には無理だ。兎に角、体力を取り戻さなければ。 璃里が寝台から身を起こしたちょうどその時、扉が叩かれた。 「俺だ。璃里、入ってもいいか」 聞き慣れた声だ。この声はシンドバット。多分、自分の妖刀についてだろう。 「どうぞ」 入ってきたのはシンドバット一人。璃里の顔を見て、彼は安心したのか頬を緩めた。 「よかった。顔色は良くなってきたようだな」 「みなさんのおかげで、なんとか」 「ちゃんと安静にしていたようだな。偉い、偉い。」 「……子供扱いは止めてください」 むっと見上げると、シンドバットは「俺はまだまだ子供だと思うけどな」と笑った。 「さて、本題に入ろうか。璃里の妖刀について。どこまで知っている?」 「彼は寄生し、ワタシの体力で生きていることしか…」 「そうだな、妖刀は寄生する刀だ。だが、アレは……君の体力を奪ってはいない」 「えっ…?」 瞠目してシンドバットを見る。彼は真剣な表情で、重い口を開く。 「血だよ」 「血…?」 「最近、立ち眩みや貧血がないか?それは妖刀で人を斬っていないから、璃里の血を啜っているんだ」 「そんな、ことが…!」 そんなおぞましいことが、あるなんて。人の血を啜りし化け物。それが妖刀の正体だった。 口に手を当てる璃里に、シンドバットは出来るだけ優しい声音で問う。 「あと聞きたいことがもう一つ。君は、誰に貰ったんだ?」 prev / next |