28 紅玉らが帰った後、アラジンも璃里と同じように倒れた。原因は、ウーゴくんにマゴイを与えようとし、自らの力が尽きてしまったからだ。 「アラジン……!」 「あの、シンドバットさん」 「どうかしたか、モルジアナ?」 どこか焦ったような表情のモルジアナに、シンドバットは悪い予感を察知した。 「璃里さんが…気絶していて」 888 「んぅ……う、ん…?」 「璃里さん…!」 「モルジアナちゃん……」 目を覚ました璃里は、辺りを見回す。ぼんやりとした意識が明瞭になっていき、あることに気付いた。 あの時立っていた場所とは違う。ここはどこだ? 「モルジアナちゃん……ここは…?」 「ここはアリババさんの家の隣です」 「そうですか…。ウーゴくんは、大丈夫ですか?」 「それが……」 モルジアナは表情を暗くさせ、言い澱んだ。 「ウーゴさんは、笛の中に戻っていきました…」 「……そうですか」 モルジアナの辛そうな表情から、ウーゴくんは消滅してしまったのだと璃里は読み取った。 「本当に…ごめんなさい。肝心な時に力になれなくて……」 「い、いえ…私も全然なれなくて……。あの、少しお願いしてもいいですか?」 モルジアナが真剣な面持ちで見てきた。その気迫に璃里はこくりと頷いた。 「よ、呼び捨てで結構なので…」 「え?それだけ、ですか?」 「はい」 「……じゃあ、モルジアナ…?」 璃里が恥ずかしそうに言うと、モルジアナはふわりと目尻を緩ませた。 「じゃ、じゃあ僕のことを、璃里って呼んでください」 「はい、璃里」 「ふふ、なんだか恥ずかしいなあ」 むずむずするような感覚に、二人はひっそりと笑った。 prev / next |