3 ぽいっと放り出されたアラジンと璃里は、金髪の男によって強制的に土下座をすることになった。彼はこのまま忘れていてくれないかなと淡い期待を抱いた。 「ん…?おい、そこの黒髪。お前、顔を見せろ」 気付かれてしまったならしょうがない。腹をくくった璃里はブーデルの前で顔を晒す。 「やはりな!!貴様、よくも昨日は騙してくれおったな!」 「っげほ!」 昨日の占い師を璃里と判断したブーデルは、彼の横面を蹴り飛ばした。白い頬が赤く腫れ上がる。その様子を見て、居ても立ってもいられなかったのか金髪の男が口を挟む。 「ぶ、ブーデル様!?そいつは――」 「黙れ!おい、そこの黒髪を連れて行け!奴隷にして酷使してやるわ」 ブーデルの獰猛な笑みに、流石の璃里も危機感を覚えた。アラジンは「おねいさん…」と目を見開き、驚いていた。 「ケッ、まさかお前が盗人だとはな!」 「ふん、まんまと騙されるダンナは滑稽でしたよ」 「〜〜〜っの減らず口が!塞いでしまえ!」 璃里を挟むように立っていた男達が、布で彼の口を塞ぐ。ブーデルは鼻で笑い「一生こき使ってやるわ…!」と彼をまた蹴った。 蹴られた彼は朦朧とした意識の中で、早く逃げなきゃと策を練っていたが思い付かない。諦めた彼は顔を伏せて、どこにいるかも分からない母親に想いを馳せた。 (もう、どうにでもなれ) prev / next |