23 「あらあら、なぁに?あの化け物」 不意に上空から声が聞こえてきた。見上げるとそこには、浮かぶ絨毯に乗る男女がいた。きらびやかな衣装を纏い、気絶しているジュダルを抱えている。 「ずいぶんと私たちの可愛いジュダルちゃんをいじめてくれたみたいじゃなぁい?」 「あれは…煌帝国の…!」 シンドバット達はすぐに気づいた。あんな大掛かりな魔法道具を使う奴らはただ者ではない。そして、ジュダルを神官として迎え入れているのだ。 「なぁに?誰か探しているの?」 周りをちらちら見ている夏黄文が目についたのか、紅玉が話しかけた。 「いえ、大御寺家のご子息様がいらっしゃると耳に入ってきたもので」 「ダイオンジ?誰よ、それ」 「遠い島国の小さな国家です。いずれ私達の…」 「そんなことより、あの化け物まだやる気かしら?いいわ、私が相手をしてあげる。夏黄文はジュダルちゃんを治療していて」 興味がなかったのか紅玉は話を打ち切り、絨毯から離れた。 「悲哀と隔絶の精霊よ…汝と汝の眷属に命ず…。我がマゴイを糧として我が意志に大いなる力を与えよ!出でよ、ヴィネア!!」 「まさかジンの…!」 空中に漂う彼女の身の周りに、水の龍がぐるぐる回る。ニヤリと不敵な笑みを浮かべ「いっくわよぉ!!」と叫んだ。 ウーゴくんは大きな穴が開いたまま、彼女に近づき得意な熱魔法で水分を蒸発させた。 しかし、満身創痍なウーゴくんは一歩、及ばなかった。鋭い剣が切り裂き、ウーゴくんの身体は散り散りになり、笛に入っていった。 prev / next |