はちかけ! | ナノ


20

璃里に降りかかってきた氷柱を、ウーゴくんが手を一振りで破壊してくれた。アラジンは彼の右肩にある氷に気づいた。


「璃里お兄さん…!肩が!」

「気にしなくていいです!早く、あの人を止めなければ……!」

「っでも、う、無理しちゃダメだよ!?」

「……善処、します」


ごめんなさい、アラジン君。小さな小さな声で呟き、肩に刺さる氷に手をかける。無理矢理引っこ抜けば、ぶしゃっと赤い血が溢れてきた。

妖刀を出せば…治癒力は上がるはずだ。これは彼の経験だ。妖刀に支配されれば、基本的能力が急激に上がり、傷の治りが早くなる。


「妖、刀…マサムネ……!」


璃里が妖刀を出していた時、ウーゴくんがアラジンを庇い背中に氷柱を受けていた。アラジンは悲痛な声で名前を叫ぶ。ジュダルはニヤニヤと楽しそうに笑みを浮かべていた。


「何故なんだ、何故君は僕達にこんなことをするんだい!?」

「そういや…なんで戦っていたんだっけ?忘れちまった!」

「っ!?」


へらへらと笑うジュダルを見て、アラジンは信じられないという驚きに満ちた表情を見せた。ジュダルは言葉を続ける。おかげで今日は少しだけ楽しい、と。

そうこうしている内に、ウーゴくんの身体に開いた大小様々な穴からマゴイが漏れ出していく。


「アラジン!ウーゴくんを笛に戻すんだ!」


シンドバットが大声でアラジンに向かって叫ぶ。しかし、アラジンは困ったような顔をしてシンドバットに言った。


「でも、ウーゴくんが戻ってくれないんだ!」

「なっ…!?」

「ウーゴくん!戻ってよ!お願いだから…!」


ウーゴくんは穴が開いたまま立ち上がろうとする。アラジンは焦っていた。このままじゃ、彼が消えてしまう…!

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テーマ「人外ファンタジー」
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