はちかけ! | ナノ


19

ウーゴくんの盾のおかげで無傷だったアラジン。ありがとうという意味をこめて、彼の身体を優しく撫でて、宙に浮かぶジュダルを睨み付けた。


「へえ…。チビ、おもしれえモン持ってんじゃん。巨大なジンを出せるのは、俺達マギじゃなきゃできねえからな」


ジュダルはアラジンのことをマギと認めると言った。そして、自身の杖を掲げながら水を集め始めた。


「まさか…!」

「水が、浮いて!?」


ニヤリと口角をあげ、どんどん水を集めていくジュダル。ここ、霧の町であるバルバットは水が豊富なので、いくらでも集めることができるのだ。


「更に命令をすると…俺が一番得意な氷魔法だ!」


ジュダルの一回り、二回りもありそうな巨大な氷の塊が宙に浮かびあがった。

更にジュダルが杖を振ると、バキバキと音を鳴らしながら鋭い氷柱になりはじめた。


「くらえ!!サルグ・アルサーロス!!」


地上にいる人々に氷柱が襲いかかる。落ちた氷柱は地面に凍りつく。璃里は短刀で払っていたが、すぐに氷に覆われてしまう。

ウーゴくんもアラジン達に被害が及ばないように、懸命に腕で叩き割っていく。


「おい!璃里、妖刀を出さねえのか?」


不意にジュダルが璃里に呼びかけてきた。今はそれどころじゃないんだ!ささくれる感情を抑えながら、氷柱を避ける。


「なぁ、お前ももっと暴れたいんじゃねえの?」

「馬鹿なことを言うな!ワタシは、っ、お前みたいな戦闘狂じゃない!!」

「面白くねえヤツだな。まあ、死ねよ」

「い゙っ!」


右肩に氷柱が刺さり、凍りついていく。これを抜いたら、出血が酷くなるに違いない。動きづらいが我慢するしかない。


「チッ!しぶてえヤツだなぁ!」

「こっちの台詞だ…!」


肩を呼吸で動かす度に、鋭い痛みが身体に走る。ここで立ち止まるわけにはいかないんだ!!

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