16 「アラジン!!」 「お前…!」 「おいおいマジかよ!こーんなどんくさい奴とお前組むわけ?」 「この国で偶然出会っただけだ!」 なんという非道な男だ…!倒れてしまったアラジンを支えながら璃里は憤りを感じた。自分の母を貶される時と同じ感情。彼はその感情に少し戸惑っていた。 「ならいいけどー。そうだ、チビ、お前が本当のマギならもう王候補を連れて来ているよな?お前の王候補出せよ」 王候補…?まだマギのことを詳しく知らないアラジンは、何のことかさっぱりだった。ただ、あの迷宮の時に聞いたくらいだ。 「だんまりかよ。いーよ、自分で捜すから」 ジュダルは周りの人間をぐるりと見回した。王候補の奴は八芒星を持っている!しかし、彼は璃里の中にある、暗く赤黒いオーラを放つ妖刀に気づいたのだ。 「あれえ?なんで親父達が作った妖刀があるわけ?」 「っ!」 「あ、お前って大御寺家の璃里だろ!母親殺して家出していった…弟、だろ?」 ジュダルは得意げに璃里に人差し指を突き出した。璃里の事情を知らないアラジンとアリババは、困惑しているようだった。 「……いかにも、ワタシが大御寺璃里だ」 「妖刀?どういうことだ、ジュダル!」 「はあ?バカ殿知らなかった?あー、なるほどなぁ!お前隠していたのかー。でも、それも無駄な努力だったな!」 「璃里さん…」 モルジアナが心配そうに声をかけるが、璃里の耳には届いていなかった。キュッと右手で短刀を握りしめる。目の前にいるジュダルが怖くて仕方がなかった。 prev / next |