はちかけ! | ナノ


14

璃里達が話していたその時、ジャーファルとマスルールがアリババを呼びに来た。今日の結果を皆に伝えるそうだ。


「ああ、アリババ君。こっちに来なさい」

「さ、君も頭領なんですから」

(俺は…なにも……)

「アリババ君」


璃里に名前を呼ばれ振り向くと、彼ははにかみながら「大丈夫です」と勇気づけた。


「今日の交渉は…結果的に言うと決裂した」

「決裂…!?」

「そんな…」

「そう落ち込むことはない。今日、君達は正々堂々と政府と戦った。これは勇気あることだ」

「おお…!」

「そうだ!」


項垂れていた人々が顔を上げていく。流石、一国の王だけあって求心力が強い。アリババと同じように璃里も感銘を受けた。

高台から降りてきたアリババは璃里に話しかけた。


「すごいな…シンドバットさんは」

「そうですね。ワタシも尊敬します」

「俺に…人を束ねるくらいの力があればな……」

「おい!人が浮いてるぞ!」

「え…?」


月光を背に登場したのはマギの一人である、ジュダル。


「よお!シンドバット!」

「ジュダル…!」


初めて見る黒いルフに、璃里は大きく目を見開いた。ルフを振り撒きながらジュダルは絨毯から飛び降りてきた。


「貴様ら、この国でなにをするつもりだ?」

「さあな。親父達の考えている経済とかには興味ねえよ」


肩をすくめてジュダルはへらへら笑った。それを見てシンドバットは眉に皺を寄せた。

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