13 もう一度目を開けると、アラジンの顔が視界いっぱいに映った。驚いて声が出せない璃里の代わりにアラジンが「大丈夫?辛くないかい?」と聞いてきた。 「アラジン、璃里さんがびっくりしています」 「あっ、ごめんね。嬉しくて、つい」 「アラジン君…モルジアナちゃん。あれ?アリババ君は?」 「アリババさんは…アブマド王に市民の奴隷計画を止めるよう交渉をしました。しかし…」 「できなかったんだ。アリババ君は、部屋にいるよ。案内しようか?」 「はい、お願いします」 璃里は上着を羽織り、急いで扉を開けた。肩を落としている彼の姿が想像できる。 部屋についた時は、彼の息が上がっていた。まだ体調が万全じゃないせいか。 「璃里…?お前、寝込んでるってシンドバットさんから、」 「アリババ君…あの、モルジアナちゃんに聞きました」 「っ!あーいや、やっぱりさ。俺には無理だったんだよ」 辛そうな笑みを浮かべるアリババに、璃里は胸を締め付けられた。 「アリババ君」 「な、なんだよ…?急に…て、手なんか握って」 「君は僕の恩人です。出来る限りの支えはして、」 「違うだろ。俺達は…友達じゃねぇのか?」 友達。母国に居た時には聞いたことがない単語だったが、書物で見たことがある。 目頭が熱くなり、前を向くことができなかった。アリババは目を丸くしたあと、にこりと笑った。 「わー璃里ちゃん泣いちゃう?」 「なっ、泣きません!」 これからもっと璃里のことを知って、いっぱい話をしたい。アリババはそう強く思った。 「モルさん……なんだか僕たち、出遅れちゃったみたいだね」 「そうですね」 prev / next |