9 テーブルに地図を広げ、さらさらと説明をしていくジャーファル。それを聞いたあと、モルジアナがぽつりと呟いた。 「あの……国民が支持している人を捕まえてしまうのは、正しいのでしょうか」 「俺は正しいと思っている」 シンドバッドは迷うことなく答えた。【霧の団】は義賊だが、盗んだ金品をばら蒔き支持を得ようとするのは間違っていると、シンドバッドは考え出したのだ。 「まあ、そんな具合で君たちも自分で考えて、決めて欲しい」 シンドバッドの真剣な表情に、三人はこくりと頷いた。そして真面目な表情を崩すと、微笑みながら「じゃ、今夜はみんな気を抜かすなよ」と言った。 「シンドバッドさんはすごいね!」 アラジン達の部屋にお邪魔している璃里。その言葉に「そうですね」と言った。 「でも…アリババ君が【霧の団】のリーダーなんて嘘だよね」 「……わかりません。しかし、もしリーダーならば事情があって、とか脅迫されているとか…そういう考えが浮かびますね」 「事情…脅迫……」 むむむと唸るアラジン。それを苦笑して見ていると、モルジアナが口を開いた。 「璃里さん、顔色が悪いですね」 「そうですか?マスルールさんにも指摘されてしまって…」 「……あの刀のせい…?今夜はホテルにいた方が、」 「いえ、ワタシはなにがなんでも【霧の団】を倒さなければ。モルジアナちゃんのためにも、アラジン君のためにも」 意外に頑固な性格をしている。モルジアナは自分と少し似ている璃里は、ジャーファル達もたじたじさせているんだろうなと想像した。 prev / next |