はちかけ! | ナノ



璃里に対しての説教が終わった後、ジャーファルが彼の頭を撫でた。彼は床に正座していたので、必然的に見上げる形になる。


「あの、ジャーファルさん…?」

「あまり無茶をしないでください。曲がりなりにも、貴方は大御寺家の」
「違います!今のワタシは…シンドバッドさんに仕えている身です…!」

「……君も頑固者だな」


ムッと頬を膨らませる璃里の頬を、ジャーファルは苦笑した。

最初の時は、畏まって子供らしくない子だった。今は、こうして素の表情を見せてくれるようになった。

厳しく彼を叱っているジャーファルだが、彼は彼で璃里の身を案じて、説教をしたり灸を据えている。

できればシンドバッドの護衛よりも、食客として迎えて彼を彼の母国に帰したい。

しかし、璃里はそれを断固拒否し、ジャーファルの叱咤に耐えながら日々を過ごしていた。


「……璃里も大変だな」

「マスルールさん、何が大変なんですか?」

「や…気づいてないならいい」

「ともかく、今回はホテルで大人しくしていてください」

「そんな!ワタシだけ…駄目ですよ。それに、シンドバッドさんの金属器がありませんし……」


そうだった。嫌なことを思い出し、ジャーファルは頭を抱えた。


「それなら璃里に手伝ってもらえばいい」

「しかし…!」

「お前もそう思うんだろ?」

「シンドバッドさん…!」


シンドバッドが璃里にウインクを送れば、ジャーファルはため息を吐いた。まったく、面倒なことに。

セクハラ上司のシンドバッド。怖いけど心配性のジャーファル。寡黙で仲間思いのマスルール。素敵な人達に自分は会えたと璃里は思った。

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テーマ「人外ファンタジー」
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