4 バルバッドの王、アブマドに霧の団を倒すと言い放ったシンドバッドは、部屋に戻った。 交渉の場に居なかった璃里に、ジャーファルが事の顛末を話した。 【霧の団】、彼らは霧が出る夜を狙って、富裕層の泊まる部屋や家を襲う。そしてその頭が―― 「怪傑【アリババ】」 「アリババ!?」 「璃里、知っているのか?」 「あ、いえ、同じ名前の人を知っていて……すみません、続けてください」 「……それで、【霧の団】が出没する場所と日を特定しました。出没する日は――」 まさか、あの優しいアリババ君が。璃里の脳裏に浮かぶのは、勇敢に自分に立ち向かう金髪の少年。 仲間になろうと言ってくれた優しい彼が、人を襲って金銀財宝を盗む泥棒なんて―― 「説明はこれくらいです。それで、シン。貴方の金属器は?」 「じゃ、ワタシ、アラジン君のところに」 「璃里、貴方も居なさい」 「……はい」 「盗まれてしまった」 「……アンタって人は…!!」 ああ、もうジャーファルさんがイライラしてるよ…!マスルールの右腕にしがみつき、背後に隠れる璃里。意味があるのだろうかとマスルールは思ったが、無言で受け入れた。 「馬鹿ですか?あれが無くて、どうやって退治するんですか!?」 「……何とかできる」 「しっかりしてください…。自覚があるのか?七海の覇王よ!」 「それ言うの恥ずかしくないか?」 「アンタのアホの方が恥ずかしいわ!!」 ごもっともである。とにかくここからずらかりたかった璃里は、そろりとマスルールの背後から逃げようとした。が、 「璃里。なに逃げようとしているんだ?」 「うう……」 ギリギリとジャーファルに両腕を紐に縛られてしまった。 prev / next |