はちかけ! | ナノ



璃里の衣服を着るには抵抗があった割には、アラジンが貸そうと申し出た時はすんなり借りていた。

その光景に璃里は、やはり粗末なものだったからか、としょんぼりしていた。それに気づいたシンドバッドは「そういうことじゃない」と頭を撫でた。


ホテルへ行く道中、シンドバッドはバルバッドの情勢を、アラジン達にも分かりやすく噛み砕いて説明していた。


「でも、大丈夫!このホテルなら安全だよ」

「でもお金が…」

「そうですね…。キャラバンで稼いだお金も少ないし……」

「……シンドバッドさん」

「俺が宿代を持つから大丈夫だよ」


シンドバッドがそう言えば、アラジン達は笑顔になり礼を述べた。璃里は流石シンドバッドさんだなと思いながら、ジャーファルを考えると、胃がキリキリ痛んだ。


「何者だ!貴様は!?」

「なっ、通せ!分からないのか!?」

「そりゃあ……あんな格好ですからね」

「やっと帰って来ましたか。シン、璃里。って……何ですかその格好は!?」

「やあ、ジャーファル」

「すいません……ワタシが早く見つけていれば…」


呆れてため息を吐いたジャーファルは「ひとまず中に入ってください。シンは着替えて」と指示した。


「璃里おにいさん、顔が真っ青だけど……大丈夫?」

「だ、大丈夫アルね……」

「語尾がおかしくなってますよ」


ううん、大丈夫じゃない。何度も怒られてきたが、今日のジャーファルは一段と怖い。

生きてアラジン君達と合流できればいいのだが…。そこに懸念する璃里であった。

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