3 璃里の衣服を着るには抵抗があった割には、アラジンが貸そうと申し出た時はすんなり借りていた。 その光景に璃里は、やはり粗末なものだったからか、としょんぼりしていた。それに気づいたシンドバッドは「そういうことじゃない」と頭を撫でた。 ホテルへ行く道中、シンドバッドはバルバッドの情勢を、アラジン達にも分かりやすく噛み砕いて説明していた。 「でも、大丈夫!このホテルなら安全だよ」 「でもお金が…」 「そうですね…。キャラバンで稼いだお金も少ないし……」 「……シンドバッドさん」 「俺が宿代を持つから大丈夫だよ」 シンドバッドがそう言えば、アラジン達は笑顔になり礼を述べた。璃里は流石シンドバッドさんだなと思いながら、ジャーファルを考えると、胃がキリキリ痛んだ。 「何者だ!貴様は!?」 「なっ、通せ!分からないのか!?」 「そりゃあ……あんな格好ですからね」 「やっと帰って来ましたか。シン、璃里。って……何ですかその格好は!?」 「やあ、ジャーファル」 「すいません……ワタシが早く見つけていれば…」 呆れてため息を吐いたジャーファルは「ひとまず中に入ってください。シンは着替えて」と指示した。 「璃里おにいさん、顔が真っ青だけど……大丈夫?」 「だ、大丈夫アルね……」 「語尾がおかしくなってますよ」 ううん、大丈夫じゃない。何度も怒られてきたが、今日のジャーファルは一段と怖い。 生きてアラジン君達と合流できればいいのだが…。そこに懸念する璃里であった。 prev / next |