はちかけ! | ナノ



広い道に出た時だった。シンドバッドが誰かを見つけたらしく、腕を広げ話しかけていた。


「やあ、今日はいい天気だね!」

「「わぁぁあああ!?」」

「も、モルさん下がって!」

「いえ、ここは私が!」


聞いたことがある声。期待で胸が高鳴る璃里は、振り返り前を見た。


「モルジアナちゃんとアラジン君…?」

「あ!璃里おね…おにいさん!」

「璃里さん!!」

「知り合いなのか?」


アラジンにぎゅうぎゅう抱き付かれながら「はい。ワタシを助けてくださった恩人です」と答えた。

アラジンはやっぱり胸がないと思いながら、ぺたぺた無遠慮に触っていた。


「ちょっ、こら、止めてくださ、っ」

「なんでおにいさんは女の子じゃないのかなあ?」

「やはり璃里さんは男なのですよ、アラジン」


涙目になりながらシンドバッドに助けを求めれば、彼はいやらしい表情だった。シンドバッドさんの変態!


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「そうか、君たちは友達を探しているんだね」

「うん。迷惑を攻略してから離ればなれになっちゃって……。もしかしたらバルバッドに居るかもって」

「なるほど。そうだ、ここからだと、町が見えるんじゃないかな?」

「ほんと!?」


楽しそうに駆けていくアラジン達。シンドバッドは璃里を見た。彼の頬が少し土で汚れている。

多分、自分を探している途中、汚してしまったのだろう。


「璃里、汚れているぞ。こっちに来い」

「いえ、自分で拭きますよ。どこですか?」

「んーここ、かな」


チュッと鳴ったリップ音に、固まる璃里。我に返ったのか、顔が面白いくらい赤くなっていく。


「なななななにを!?汚いですよ!?」

「うーん、ジャリジャリしてる」

「ペッしてください!ペッて!」


戻ってきたアラジン達は、二人のやり取りに頭をかしげていた。


「何があったんだろう?」

「さあ…。璃里さんが真っ赤になっているので、何か恥ずかしいことが」


シンドバッドの行動を想像した二人は、先ほどよりも冷めた視線を彼に向けた。

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