2 広い道に出た時だった。シンドバッドが誰かを見つけたらしく、腕を広げ話しかけていた。 「やあ、今日はいい天気だね!」 「「わぁぁあああ!?」」 「も、モルさん下がって!」 「いえ、ここは私が!」 聞いたことがある声。期待で胸が高鳴る璃里は、振り返り前を見た。 「モルジアナちゃんとアラジン君…?」 「あ!璃里おね…おにいさん!」 「璃里さん!!」 「知り合いなのか?」 アラジンにぎゅうぎゅう抱き付かれながら「はい。ワタシを助けてくださった恩人です」と答えた。 アラジンはやっぱり胸がないと思いながら、ぺたぺた無遠慮に触っていた。 「ちょっ、こら、止めてくださ、っ」 「なんでおにいさんは女の子じゃないのかなあ?」 「やはり璃里さんは男なのですよ、アラジン」 涙目になりながらシンドバッドに助けを求めれば、彼はいやらしい表情だった。シンドバッドさんの変態! 888 「そうか、君たちは友達を探しているんだね」 「うん。迷惑を攻略してから離ればなれになっちゃって……。もしかしたらバルバッドに居るかもって」 「なるほど。そうだ、ここからだと、町が見えるんじゃないかな?」 「ほんと!?」 楽しそうに駆けていくアラジン達。シンドバッドは璃里を見た。彼の頬が少し土で汚れている。 多分、自分を探している途中、汚してしまったのだろう。 「璃里、汚れているぞ。こっちに来い」 「いえ、自分で拭きますよ。どこですか?」 「んーここ、かな」 チュッと鳴ったリップ音に、固まる璃里。我に返ったのか、顔が面白いくらい赤くなっていく。 「なななななにを!?汚いですよ!?」 「うーん、ジャリジャリしてる」 「ペッしてください!ペッて!」 戻ってきたアラジン達は、二人のやり取りに頭をかしげていた。 「何があったんだろう?」 「さあ…。璃里さんが真っ赤になっているので、何か恥ずかしいことが」 シンドバッドの行動を想像した二人は、先ほどよりも冷めた視線を彼に向けた。 prev / next |