はちかけ! | ナノ



迷宮から脱出した璃里は、シンドバッドが治めるシンドリアにいた。その時、シンドバッドが手を差し伸べたのである。

今、その恩人であるシンドバッドを探索中。彼は放浪癖があるらしく、少し目を離せばフラフラ。

これにはジャーファルも手を焼いているらしい。しかしながら、彼の放浪癖のおかげで璃里は野垂れ死にすることなく、平穏な生活を送ることができたのである。多少色々なハプニングがあったが。


(まあ、いい人……なんだろうな)


出会い頭、お嬢さん呼びにされたのがまだ記憶に新しい。

見覚えのある藍色の髪を視界に捉えた。しかし、全裸であった。思わず逃げ出したい璃里だが、ここはグッと堪えて、


「シンドバッドさん!」

「おお、璃里じゃないか」

「……その格好、どうしたんですか」

「昼寝をしていたら、服や金属器を盗られてしまったらしい」

「へえ、金属器を?金属器を!?」


ここ半年、シンドバッドの傍に仕えてきた璃里は、だいたいの知識はジャーファルから教わった。もちろん、大事な金属器のことも。


「こ、これが知られたら、ジャーファルさんに締め上げられますよ!?どうするんですか!!」

「まあ、そう慌てるな璃里。とりあえず、ジャーファルに知らさねばならん」

「もうワタシ知りません…。あとここを隠してください!」

「はは、どうだ?璃里よりおっきいぞー」

「……もうやだ」


衣食住を提供してもらって頂いているから、シンドバッドさんに仕えたい!そう考えた自分を、今すぐ殴りたくなる璃里であった。


「とにかく、粗末な物ですが、これを着てください!」

「止せ璃里!お前の露出は俺の鼻血の露出に繋がるんだぞ!?」

「……知りませんよ。じゃあこの葉っぱで隠してください」

「つけ」
「帰りましょう。ジャーファルさんは怒ったらとても怖いので」

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