1 迷宮から脱出した璃里は、シンドバッドが治めるシンドリアにいた。その時、シンドバッドが手を差し伸べたのである。 今、その恩人であるシンドバッドを探索中。彼は放浪癖があるらしく、少し目を離せばフラフラ。 これにはジャーファルも手を焼いているらしい。しかしながら、彼の放浪癖のおかげで璃里は野垂れ死にすることなく、平穏な生活を送ることができたのである。多少色々なハプニングがあったが。 (まあ、いい人……なんだろうな) 出会い頭、お嬢さん呼びにされたのがまだ記憶に新しい。 見覚えのある藍色の髪を視界に捉えた。しかし、全裸であった。思わず逃げ出したい璃里だが、ここはグッと堪えて、 「シンドバッドさん!」 「おお、璃里じゃないか」 「……その格好、どうしたんですか」 「昼寝をしていたら、服や金属器を盗られてしまったらしい」 「へえ、金属器を?金属器を!?」 ここ半年、シンドバッドの傍に仕えてきた璃里は、だいたいの知識はジャーファルから教わった。もちろん、大事な金属器のことも。 「こ、これが知られたら、ジャーファルさんに締め上げられますよ!?どうするんですか!!」 「まあ、そう慌てるな璃里。とりあえず、ジャーファルに知らさねばならん」 「もうワタシ知りません…。あとここを隠してください!」 「はは、どうだ?璃里よりおっきいぞー」 「……もうやだ」 衣食住を提供してもらって頂いているから、シンドバッドさんに仕えたい!そう考えた自分を、今すぐ殴りたくなる璃里であった。 「とにかく、粗末な物ですが、これを着てください!」 「止せ璃里!お前の露出は俺の鼻血の露出に繋がるんだぞ!?」 「……知りませんよ。じゃあこの葉っぱで隠してください」 「つけ」 「帰りましょう。ジャーファルさんは怒ったらとても怖いので」 prev / next |